ロサンゼルスから東へ向かうと、風景は一気に変わり、山と砂漠がつくるダイナミックな世界が広がります。パームスプリングスのリゾート感あふれるオアシスと、ジョシュアツリーの荒涼とした国立公園、そしてテメキュラのぶどう畑とワイナリー。この3つをつなぐルートは、南カリフォルニアの「乾いた美しさ」と、ゆったりとした大人の時間を味わえる3日間のロードトリップを楽しませてくれます。
Day 1 LAX → Palm Springs
ロサンゼルス国際空港(LAX)を出発し、I-10 を東へと進みます。市街地を抜け、サンバーナーディーノ山脈が近づくにつれて空の青さが増し、カリフォルニアらしい乾いた風景が広がり始めます。カバゾンを過ぎ 111号線(Palm Springs方面) に入り、左手に巨大な風車群ウインドファーム(Palm Springs Windmills) を眺めながらさらに車を進めれば、ヤシの木が並ぶ砂漠のリゾートタウン パームスプリングス(Palm Springs) へ到着します。



まずは、かつてガソリンスタンドとして建てられた歴史的建築をリノベーションした Palm Springs Visitor Center へ立ち寄りましょう。町の観光情報はもちろん、ミッドセンチュリー建築を象徴する屋根の“翼形(ウィングルーフ)”が美しく、フォトスポットとしても人気がある場所。ここで街のマップや最新情報を手に入れましょう。

次に向かいたいのは、町の北端にあるパームスプリングス・エアリアルトラムウェイ( Palm Springs Aerial Tramway)。標高約2,600mのサンジャシント山頂へ向かうロープウェイはゴンドラが回転し、360°の絶景が楽しめます。山頂はひんやりとした空気に包まれており、到着した瞬間に「同じ日に来たとは思えない」ほどの気温差を体験できます。山頂のレストランでランチを楽しみながら、砂漠の町を見下ろす雄大な景色を味わうのもおすすめです。


午後はミッドセンチュリーモダン建築を巡るドライブへ。アップタウン・デザイン・ディストリクトにはヴィンテージショップやギャラリーが集まり、建築とデザインの街らしい雰囲気が感じられます。また Palm Springs Art Museum Architecture and Design Center を訪れれば、なぜこの町が「ミッドセンチュリーの聖地」と呼ばれるのか、その背景を深く理解できるでしょう。

宿泊はミッドセンチュリー文化を体感できるホテルがおすすめ。中でも スパーローズロッジ(Sparrows Lodge) はミシュランキーにも選ばれた歴史的ホテルで、かつてハリウッドスターの隠れ家として愛された場所。プールサイドの静けさと、火が灯るパティオの温かい雰囲気が、旅の初日を心地よく締めくくってくれます。


Day 2 Palm Springs → Joshua Tree National Park → Temecula
2日目は朝の涼しいうちにパームスプリングスを出発。インディオ(Indio)やコーチェラ(Coachella)エリアを通り、I-10 を経由して ジョシュアツリー国立公園 (Joshua Tree National Park)へ向かいます。
南側ゲートから園内に入ると、砂漠特有のサボテン群生地や花崗岩の奇岩が連なる壮大な景色が広がります。まず立ち寄りたいのはチョラ・カクタス・ガーデン( Cholla Cactus Garden Trail)。朝の光に輝く無数のチョラサボテンは、まるで別世界にきたかのよう。

続いて、なめらかな岩がアーチ状に削られた Arch Rock や、公園の雄大な地形を俯瞰できる Ryan Mountain Vista Point にも立ち寄ってみましょう。さらにその先にある Keys View では、サン・アンドレアス断層やコーチェラバレーを一望でき、晴れた日にはメキシコ方面まで見渡せるほど、この地ならではの絶景を堪能することができます。
午前中いっぱい国立公園を満喫したら北側ゲートへ向かい、62号線(Twentynine Palms Hwy)へ。そこから約20分ほど車を走らせ、 19世紀の西部開拓時代の雰囲気が残る パイオニアタウン(Pioneer Town )を訪れてみましょう。


どこを切り取っても絵になる小さな街の散策の後は、人気レストラン Pappy & Harriet’s でランチタイムを。スモーキーな香りが広がるポークバックリブやバーガーは絶品です。タイミングが良ければライブ演奏が楽しめることもあり、砂漠文化を感じる特別なランチ体験になるでしょう。
ランチのあとは、ワインカントリーとして知られる テメキュラ(Temecula) へ約1時間30分のドライブです。牧場やブドウ畑が点在する穏やかな景色を抜け、オールドタウン近くのホテルにチェックインしたら、夕方は石畳の通りにレストランやブルワリーが並ぶ Old Town Temecula へ。地元ワインやクラフトビールを楽しみながら、旅の2日目を静かに締めくくりましょう。


Day 3 Temecula → Anaheim → Return
最終日は、テメキュラのワインカントリーをドライブするところからスタート。朝の光に照らされたブドウ畑を走り抜ける時間は、この旅ならではの贅沢です。テメキュラを出発したら、1時間ほどドライブしてアナハイム(Anaheim)へ向かいます。
到着後は人気フードスポット 「アナハイム・パッキング・ディストリクト(Anaheim Packing District )」でランチをするのがおすすめ。世界各国の料理が集まるフードホールは、旅の締めくくりにふさわしいスポットです。その後は車で10分のアウトレット・アット・オレンジ(The Outlets at Orange)でショッピングを楽しむのもよいでしょう。



その後はロサンゼルス国際空港(LAX)へと向かいますが、アナハイム周辺からの帰路は時間帯によって渋滞が激しくなることで知られています。特にI-405は南北方向の交通が集中するため混雑しやすく、状況に応じてルートを選び分けることが大切。例えばオレンジ(Orange)付近からI-5を北上し、アルモンド・アベニュー(Almond Ave)付近でCA-91(Riverside Fwy)へ。そこから西へ進み、ロサンゼルス方面へ向かう分岐でI-110、I-105に接続すれば、比較的スムーズにLAXへとアクセスできることもあるでしょう。LAX付近のI-405は平日の15時すぎから交通量が一気に増えるため、Googleマップのリアルタイム情報を確認しながら柔軟に進むのが安心です。
砂漠のオアシス・パームスプリングスに始まり、雄大なジョシュアツリー国立公園、そしてワインと食の文化が息づくテメキュラへと続くルートは、南カリフォルニアの多様な魅力を一度に体感できる贅沢なドライブとなるはずです。さらに、アナハイムでのショッピングや美食を加えれば、自然・文化・都市の活気が立体的につながり、この土地ならではの“多彩な旅の表情”を味わえるロードトリップになるはずです。
Drive Tips
- 総走行距離:約688km
- おすすめシーズン:秋〜春(夏季は砂漠の高温に要注意)
- ジョシュアツリー国立公園は午前中の光が写真に最適
- Pappy & Harriet’s は週末混雑するため予約推奨
- アナハイム → LAX は渋滞が多いためリアルタイムマップを活用

