Pacific Coast Scenic Byway|海岸線を585km走るオレゴン州の絶景ルート

パシフィック・コースト・シーニックバイウェイ(Pacific Coast Scenic Byway)は、USルート101号線(US Highway 101)に沿って、オレゴン州の海岸線を南北に貫く全長363マイル(約585km)のルートです。アメリカのシーニック・バイウェイの中でも最上位の「All-American Road」に指定されており、アストリア(Astoria)からブルッキングス(Brookings)の南まで、雄大な太平洋を背景にした自然や文化をたっぷりと体感できます。

オレゴン州では、法律によってすべてのビーチが公共の財産として守られており、この海岸線は「The People’s Coast(人々の海岸)」とも呼ばれています。バイウェイは、その海岸線をつなぐように続いており、道中には断崖絶壁、砂丘、温帯雨林、海食洞、牧草地など多彩な風景が次々と現れます。ティラムック岬より南の海岸線は「オレゴン諸島国立野生生物保護区」(Oregon Islands National Wildlife Refuge)に指定されており、国立・州立公園も点在。クジラやアシカ、渡り鳥などの野生動物にも出会える豊かな自然環境と、歴史ある港町の風情が共存する魅力あふれるルートです。

出発は、コロンビア川の河口に位置する歴史的なアストリア(Astoria)。映画『グーニーズ』のロケ地としても知られるこの町には、オレゴン・フィルム博物館(Oregon Film Museum)やジョージ・フレーベル船長邸博物館(Flavel House Museum)などなどがあり、歴史建築の散策が楽しめます。125フィート(約38m)の記念塔アストリア・コラム( Astoria Column)からは町並みとコロンビア川の風景を一望できます。

南へ進むと、広大な砂浜が広がるシーサイド、高さ約235フィート(約72m)の一枚岩ヘイスタック・ロック(Haystack Rock)が象徴的なキャノンビーチに到着。ここはオレゴン州を代表するビーチリゾートで、州内外から観光客が訪れます。

さらに南下すると、オズワルド・ウェスト州立公園のニーカニー山の峠道に差しかかります。標高は約500mに達し、ここはオレゴン州の高速道路で3番目に高い地点になり、「Neahkahnie Viewpoint」や「Neahkahnie South Viewpoint」からは、雄大な太平洋のパノラマが望めます。その後、道は一度内陸に入り、乳製品の名産地ティラムックに到着。ここでは「ティラムック・クリーマリー(Tillamook Creamery)」でチーズ工場の見学や試食を楽しむことができます。

一度内陸へと入り深い森を抜けて再び海沿いに出ると、カイトフライングで知られるリンカーンシティ、世界最小の航行可能な港を持つデポベイ(Depoe Bay)が続きます。その後はロデオポイントやデビルズ・パンチボウルなど、自然が作り出した奇岩や海食地形が連なる区間へ。そして、マイナー川を越えると、ニューポートの町に到着します。ここはオレゴンコースト水族館や海洋科学センター、ヤキーナ・ヘッド・アウトスタンディング・ナチュラル・エリア(Yaquina Head Outstanding Natural Area)など、海洋にまつわる学びや観察ができる人気のエリアです。

ニューポートを過ぎ、ウォルドポートやヤハッツといった静かな海辺の町を通り抜け、ケープ川河口付近から少し内陸にルートを外れて、標高約240mの断崖に立つケープ・パーペチュア展望所(Cape Perpetua Overlook)へ向かいます。ここからは、太平洋の壮大な景観を見渡すことができます。再びバイウェイへ戻り、海岸線を進んでいくと、オレゴンでもっとも明るい灯台として知られるヘセタヘッド・ライトハウス(Heceta Head Lighthouse)や、野生のアシカが生息する海食洞シーライオン・ケーブス(Sea Lion Caves)など、見どころが続きます

「シャクナゲの町」として知られるフローレンスを過ぎると、47マイル(約75km)にわたって広がるオレゴン・デューンズ国立レクリエーションエリア(Oregon Dunes National Recreation Area)に入ります。ここではオフロード・ビークル(OHV)やサンドボードなど、砂漠のアクティビティが楽しめます。さらに進むと、ルーズベルトエルクの観察ができるリードスポートや、オレゴンコースト最大の港町クースベイへ。ここから少しバイウェイを外れて、サンセット・ベイ州立公園、ショア・エイカーズ州立公園、ケープ・アラゴ州立公園という三つの州立公園を巡るコースもおすすめです。その後、世界有数のリンクスコースがある海辺のリゾート地バンドンでバイウェイに再合流します。

バンドン以南は、モミの森や平原、緑豊かな農地を抜けながら、アメリカ本土最西端の町ポート・オーフォード、ローグ川河口にあるゴールドビーチへと続き、終点の町ブルッキングスを目指します。この町は、温暖な気候で、「オレゴンのバナナベルト」と呼ばれています。ゴールドビーチ〜ブルッキングス〜ハーバーまでの最終区間は、サミュエル・H・ボードマン州立景観回廊(Samuel H. Boardman State Scenic Corridor)に沿って、断崖と岩場、入り組んだ海岸線の美しい風景が続きます。この道をさらに南へ進むと、カリフォルニア州のレッドウッド国立・州立公園へとつながります。

パシフィック・コースト・シーニックバイウェイは、全長約585kmにわたり多彩な自然景観と文化資源を網羅する壮大なルートです。区間ごとに表情が大きく異なるため、旅のテーマに応じて柔軟にプランニングできるのが魅力です。全区間を楽しむには2〜3泊が理想ですが、気になる見どころなどを考えて区間を決めて日帰りドライブを楽しむのもよいでしょう

ロードトリップ計画のポイント

おすすめは、アストリアからブルッキングスへと走る北→南方向のドライブ。海側に展望ポイントや駐車場が多く、右手に太平洋を眺めながらドライブできるため、風景を存分に楽しめます。とくに午前中の光は、断崖や奇岩、白砂の海岸を美しく照らし、写真撮影にも最適です。

ピークシーズンは6〜9月。人気観光地であるキャノンビーチ、ニューポート、フローレンス、ヘセタ岬、シーライオンケーブス、ヤキーナ・ヘッド周辺などでは、午前中の訪問や平日利用をおすすめします。州立・国立公園の中には、入場料やパスが必要なエリアもあるため、事前の確認もお忘れなく

Pacific Coast Scenic Byway
Web Site: Pacific Coast Scenic Byway


All-American Roadとは?

全米シーニック・バイウェイ・プログラムの中で最上位に位置づけられる称号で、米国内でも限られたルートだけに与えられています。指定を受けるためには、風景の美しさだけでなく、歴史や文化、考古学的価値、レクリエーション性といった複数の資質を兼ね備えていることが条件。つまり、単なる移動のための道ではなく、その道自体が「訪れることを目的とする価値」を持ち、世界的に注目される観光資源であることを評価基準としています。

National Scenic Bywayとは?

1991年に創設された全米シーニック・バイウェイ・プログラムの下で認定される道路の総称で、地域の景観や自然環境、歴史、文化などに顕著な価値を持つことが条件。全米各地に点在するバイウェイは、それぞれが地域の特色を映し出すものであり、訪れる人に土地の個性や物語を伝える役割を果たしています。指定を受けた道路では、沿線の観光資源や文化的遺産の保護・活用も進められ、ドライバーは単に景色を眺めるだけでなく、地域の歴史や文化を体験しながら走ることができます。旅行者にとっては、アメリカの多様な風土を理解するうえで最適なルートといえるでしょう。

オレゴン州のAll-American Road & National Scenic Byway

All American Road
Historic Columbia River Highway Scenic Byway
Hells Canyon Scenic Byway
Volcanic Legasy Scenic Byway
Pacific Cast Scenic Byway

National Scenic Byway
West Cascades Scenic Byway
McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway
Mt. Hood Scenic Byway
Oregpn Outback Scenic Byway
Rougue-Umapqua Scenic Byway
Cascade Lakes Scenic Byway

Web Site: Oregon State Roadmap

photo: ©Travel Oregon ©traveloregon.com © KURUMAG