デスバレー国立公園(Death Valley National Park)は、砂漠地帯の保護を目的に1994年に創設された国立公園です。全米の国立公園の中では(アラスカを除く)最も広い面積を誇り、その広さは実に130万ヘクタール。東京都の面積のおよそ6倍にもなります。
3000m級の山に囲まれたこの盆地は、最も低い場所で海面下86mと驚くほどの高低差があり、強い日差しによって温められた空気がこの深く乾燥した盆地のなかで滞留することで夏場には凄まじい気温にまで上昇します。1913年に記録され世界最高気温56.7度には達しないものの、現在でも夏には連日50度近くを記録するアメリカで最も乾燥した過酷な地として知られています。デスバレー国立公園のほぼ手つかずの砂漠の自然の光景は多くの人々を魅了しており、映画スター・ウォーズをはじめ、多くの映画やテレビ番組のロケ地にもなっています。
デスバレー国立公園内は、砂漠ならではの素晴らしい風景を眺めることのできるスポットが多数点在しています。レインボー・キャニオンの絶景を見下ろすファーザー・クロウリー・オーバールック(Father Crowley Overlook)、美しい砂丘が続くメスキートフラット砂丘、北米で最も標高の低い海面下86mにある干上がった塩湖バッドウォーター・ベイスン(Badwater Basin)、スター・ウォーズファンにはモス・アイズリーとして知られる白い塩田が眼下に広がり、パナミント山脈を一望することができるダンテス・ビューなどがあります。このほか1876年に銀や鉛の鉱石を処理するために作られた蜂の巣のような建物チャコール・キルズのようにゴールドラッシュで沸いた時代を伝える歴史的な場所やこの地を聖地とする先住民族ティンビシャ・ショショーネ族の岩絵や石器など彼らの歴史を物語るものも園内のいたるところで見られます。もちろんそして、この過酷な環境下を生息地とするワイルドフラワーの群生や珍しい動物などを目にすることもできます。
園内には様々なスポットへアクセスできるドライブルートが多数設けられています。園内を横断するSR-190のほか、虹のような色彩が一面に広がる丘アーティスト・パレットを眺めるアーティスト・ドライブ・シーニック・ループをはじめ、ここでしか体験することのできないドライブが楽しめます。園内のドライブルートの詳細情報は公式サイト内に掲載されているバックカントリー&ウィルダネス・アクセス・マップ(Backcountry & Wilderness Access Map)で確認することができます。訪問が決まったらサイトに内にあるガイドブックと併せて確認し、予めルートの設計を立てておくことをおすすめします。
デスバレー国立公園を訪れるのであれば、秋から春がおすすめです。真夏の気温は連日50度を超えることから、長時間の滞在が困難であったり、暑さによる車両のトラブルに見舞われるようなケースも考えられます。もちろん真夏以外のタイミングでも、万一に備えて十分な水分補給の準備(ミネラルウォーターを持参)と燃料の確認を忘れずにしておきましょう。世界で最も過酷な場所のひとつにもあげられるデスバレー国立公園へのドライブは、ほかでは体験できない圧倒的な自然の強さを印象付けられるはずです。
Death Valley National Park
Address:Death Valley, CA
Web Site: Death Valley National Park
photo: ©︎KURUMAG