ロサンゼルス(Los Angeles)から車でおよそ2時間半。サンタバーバラ・ワインカントリーの中心地、サンタイネスバレー(Santa Ynez Valley)は、ブドウ畑や牧草地が広がる穏やかな風景の中に、小さな町やワイナリーが点在する魅力的なエリアです。ブエルトンやソルバング、ロス・オリボスといった個性的な町を巡りながら、ワインと食、そして地域ならではの文化に触れるロードトリップが楽しめます。
サンタバーバラ・ワインカントリーにおけるワイン造りの歴史は18世紀、スペイン人宣教師がミッションにブドウを植えたことに始まります。長らく小規模な生産にとどまりましたが、1960年代以降、冷涼な気候を活かしたワイン産業が本格的に発展。特にピノ・ノワールやシャルドネといった品種が高く評価されるようになりました。
サンタイネスバレーは、1983年にAVA(American Viticultural Area)に認定された歴史ある産地です。今日では120以上のワイナリーが集まり、世界的なワイン愛好家の注目を集めています。栽培されるブドウの種類も多彩で、冷涼な西部ではピノ・ノワールやシャルドネが、温暖な東部ではカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどの赤ワイン品種が育ちます。さらにソーヴィニヨン・ブランやヴィオニエ、メルローといった品種も造られており、バレー全体で幅広いスタイルのワインが楽しめます。2004年公開の映画『サイドウェイ』の舞台としても知られ、一気に観光地としての知名度が高まりました。

谷全体は盆地状で、日中は太陽が降り注ぎ、夕方になると海からの冷たい風が流れ込みます。昼夜の寒暖差が大きいため、酸味と果実味のバランスが取れた高品質のブドウが育まれます。ドライブしていると、広大なブドウ畑の合間に馬の牧場やオークの木々が点在し、田園風景が広がります。
バレーにある6つの町はそれぞれが異なる魅力にあふれています。20世紀初頭にデンマーク移民によって築かれたソルバング(Solvang)、映画『サイドウェイ』の舞台となったブエルトン(Buellton)、ビクトリア朝時代の建築物が残るロス・オリボス(Los Olivos)など、自然の中に個性的な町並みが点在します。散策しながらその土地ならではの食事を楽しめるのも魅力です。



町の間に点在するワイナリーにもぜひ立ち寄りましょう。俳優フェス・パーカーが設立したフェス・パーカー・ワイナリー(Fess Parker Winery)、1972年にサンタバーバラ郡で最初に創業したファイアストン・ヴィンヤード(Firestone Vineyard)、南仏風の建物と美しい庭園で知られるサンストン・ワイナリー(Sunstone Winery)、最高級のカベルネ・ソーヴィニヨンのブのワインを楽しめるスターレーン・ヴィンヤード(Star Lane Vineyard)などは特に人気です。いずれのワイナリーも駐車場が整備され、安心して車で訪れることができます。宿泊施設を備えるワイナリーもあり、ワインと料理をゆっくり堪能したい方には滞在もおすすめです。ワイン愛好家であれば、町を拠点にワイナリーツアーに参加するのもよいでしょう。


自然の中で楽しめるのは、ワインや食事だけではありません。カリフォルニア州最長・最速のジップラインを備える「ハイライン・アドベンチャーズ(Highline Adventures)」をはじめ、乗馬やハイキングなど、アウトドアアクティビティも豊富にそろっています。



また、アメリカのカーカルチャーを象徴する歴史的コレクションが並ぶ「メンデンホール・ミュージアム(Mendenhall’s Museum of Gasoline Pumps & Petroliana)」や、デンマーク国外では珍しいデンマークの歴史と芸術に触れられる「エルヴァーホイ歴史美術館(Elverhøj Museum of History & Art)」など、文化やアートを感じる体験も楽しめます。
自然、文化、そして歴史に触れる多彩な体験が、この地域の旅をより豊かなものにしてくれます。
サンタイネスバレーへは、ロサンゼルスからUS-101を北上し、サンタバーバラ(Santa Barbara)を経由して約2時間半。サンタバーバラ市街からは車で45分ほどで到着します。ソルバングやブエルトンなどには公共駐車場が整備され、ワイナリーやレストランの敷地内にも駐車スペースがあります。海岸沿いのサンタバーバラに立ち寄るルートを組み合わせるのもおすすめです。
サンタイネスバレーは、サンタバーバラ・ワインカントリーの中でも歴史ある産地であり、個性的な町と豊かな自然、そして世界的に評価されるワインが楽しめる場所です。ロサンゼルスからの日帰りロードトリップにもぴったりで、ワインと文化の両方を味わえる充実の旅を体験できるでしょう。
Location / Address
Official Web Site: Santa Ynez Valley
photo:© Visit the Santa Ynez Valley ©George Rose courtesy Visit the Santa Ynez Valley ©Craft & Cluster | Visit the Santa Ynez Valley