ローグ-アンプクア・シーニック・バイウェイ(Rogue–Umpqua Scenic Byway)は、オレゴン州南部の山岳地帯を縦断する全長約172マイル(約277km)の景観道路で、National Scenic Byway に指定されています。ノース・アンプクア川(North Umpqua River)とローグ川(Rogue River)という、アメリカ屈指の清流「National Wild and Scenic River」を結ぶこのルートは、沿道に15ヶ所もの滝が点在することから「滝の道(Highway of Waterfalls)」の愛称で親しまれています。
川の宝庫といわれるオレゴンの中でも、ノース・アンプクア川とローグ川は、世界的に知られるフライフィッシングやラフティングの名所です。原始からの自然が残るこの流域は、古くから多くの人々を惹きつけてきました。これら2つの景観河川をつなぐルートは州間高速道路5号線(I-5)沿いの町ローズバーグ(Roseburg)を起点に、ノース・アンプクア川を遡り、ダイヤモンド湖を経て、ローグ川沿いに南下し、ゴールドヒル(Gold Hill)に至ります。変化に富んだ川と山の景観を楽しみながらドライブを楽しみ、その途中でハイキングや釣り、キャンプなどのアクティビティが満喫できる道になっています。


起点となるローズバーグは、19世紀半ばに木材産業で栄えた町で、現在もレクリエーションの拠点として人気があります。中心街には往時の面影を残す歴史的建造物が並び、周囲の丘陵地ではワイン造りも盛んです。町を出てオレゴン州道138号線(OR-138)を進むと、アンプクア国有林の中をノース・アンプクア川沿いに走る風光明媚なドライブが始まります。

最初の見どころは、ローズバーグから車で20分ほど走ったグライド(Glide)の近郊にある「コライディング・リバーズ(Colliding Rivers)」。ノース・アンプクア川とリトル川(Little River)が正面から衝突するように合流する、世界でも珍しい景観が見られます。
ここからバイウェイはノース・アンプクア川と並行しながら、大小さまざまな滝や、イーグルロック、オールドマンロックといった奇岩を望むルートへ。
数ある滝の中でも人気を集めているのは、スーザン・クリーク滝(Susan Creek Falls)、トケティー滝(Toketee Falls)、そしてワトソン滝(Watson Falls)の3滝です。特にワトソン滝は落差272フィート(約83m)を誇り、オレゴン州で3番目に高い滝として知られています。春の新緑や秋の紅葉シーズンには、多くの写真愛好家が訪れ、その美しい風景をカメラの収めます。


ローグ-アンプクア・シーニック・バイウェイのドライブはこのあと、マウント・ベイリー(Mt. Bailey)とマウント・ティールセン(Mt. Thielsen)に囲まれた標高約1,500mの高地、ダイヤモンド湖(Diamond Lake)へ。夏はレインボートラウト釣りやサイクリング、冬はクロスカントリースキーやアイススケートが楽しめるリゾート地で、湖畔にはロッジやマリーナが整備されています。ここで州道230号線(OR-230)と合流し、オレゴン州道62号線(OR-62)を通ってユニオンクリーク(Union Creek)の集落へと向かいます。ちなみに州道138号線をさらに東へ進むと、クレーターレイク国立公園(Crater Lake National Park)の北口にアクセスできます。
グライドから約90マイル(約144km)/1時間40分ほどに位置するユニオンクリーク(Union Creek)はかつてカスケード山脈を越える開拓者のための軍用道路「フォート・クラマス・ワゴンロード(Fort Klamath Military Wagon Road)」の西端として栄えた地で、1930年代に建てられた歴史あるロッジも残っている風光明媚な場所です。

この先、バイウェイはローグ川沿いをさらに南下。サーモンやスティールヘッドが遡上するローグ川渓谷(Rogue River Gorge)や、地下を流れる川が地表に再び現れるナチュラル・ブリッジ(Natural Bridge)など、火山活動が生んだ独特の地形を間近に見ることができます。プロスペクト(Prospect)周辺には、釣りや野花観察を楽しめるキャンプ場が多く、さらに下流のロストクリーク湖(Lost Creek Lake)は、ボートや水上スキーの人気スポットになっています。



シェイディコーブ(Shady Cove)を過ぎると、ラフティングの出発地として賑わうエリアを抜け、やがてオレゴン州道234号線(OR-234)へ。ローグ川の峡谷を埋めた700万年以上前の溶岩流が残るテーブルロック(Table Rock)を望みながら進むと、終着点のゴールドヒルに到着します。ゴールドヒルからは、メドフォード(Medford)や歴史的街並みが残るジャクソンビル(Jacksonville)、演劇の町アシュランド(Ashland)など、ローグバレーの主要都市にも1時間以内でアクセス可能。南オレゴンの旅の拠点としても最適です。

ローグ=アンプクア・シーニック・バイウェイは、2本の「National Wild and Scenic River」に挟まれた、オレゴンでもっとも変化に富んだ自然景観ルートのひとつです。滝や渓谷、針葉樹林の緑が織りなす風景を満喫しながら、ドライブやアウトドアで大自然を体感してみてはいかがでしょうか。
ロードトリップ計画のポイント
オレゴンを代表する2つの川を結ぶこのルートの走行時間は、約5〜7時間が目安です。ベストシーズンは6月〜10月で、野花や滝の水量が豊富な時期にあたります。標高の高い地域では冬季に積雪があるため、出発前に最新の天候・道路情報を確認しましょう。
また、「滝の道」と呼ばれるこのバイウェイでは、各滝への立ち寄りが旅のハイライト。駐車場から数分で行ける場所もあれば、短いトレイルを歩く必要のある滝もあるため、事前にアクセス情報を調べておくと安心です。
Rougue-Umapqua Scenic Byway
Web Site: Rougue-Umapqua Scenic Byway
All-American Roadとは?
全米シーニック・バイウェイ・プログラムの中で最上位に位置づけられる称号で、米国内でも限られたルートだけに与えられます。指定を受けるためには、風景の美しさだけでなく、歴史や文化、考古学的価値、レクリエーション性といった複数の資質を兼ね備えていることが条件。つまり単なる移動のための道ではなく、その道自体が「訪れることを目的とする価値」を持ち、世界的に注目される観光資源であることを評価基準としています。
National Scenic Bywayとは?
1991年に創設された全米シーニック・バイウェイ・プログラムの下で認定される道路の総称で、地域の景観や自然環境、歴史、文化などに顕著な価値を持つことが条件。全米各地に点在するバイウェイは、それぞれが地域の特色を映し出すものであり、訪れる人に土地の個性や物語を伝える役割を果たしています。指定を受けた道路では、沿線の観光資源や文化的遺産の保護・活用も進められ、ドライバーは単に景色を眺めるだけでなく、地域の歴史や文化を体験しながら走ることができます。旅行者にとっては、アメリカの多様な風土を理解するうえで最適なルートといえるでしょう。
オレゴン州のAll-American Road & National Scenic Byway
All American Road
Historic Columbia River Highway Scenic Byway
Hells Canyon Scenic Byway
Volcanic Legasy Scenic Byway
Pacific Cast Scenic Byway
National Scenic Byway
West Cascades Scenic Byway
McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway
Mt. Hood Scenic Byway
Oregpn Outback Scenic Byway
Rougue-Umapqua Scenic Byway
Cascade Lakes Scenic Byway

Web Site: Oregon State Roadmap
photo: ©Travel Southern Oregon

