ロサンゼルス発・モハーベ砂漠とデスバレーを巡る3日間のロードトリップ

Mojave & Death Valley Road Trip: Barstow & Stovepipe Wells

ロサンゼルスから東へ車を走らせると、乾いた大地と遠くに連なる山々が広がり、景色は一気に砂漠の表情へと変わっていきます。モハーベ砂漠の広大な空、ベイカー周辺の荒野、そしてデスバレー国立公園の圧倒的なスケール。砂漠と渓谷が織りなす大陸的な景観は、南カリフォルニアの自然の力強さを体感させてくれます。ここでは、ロサンゼルス/ロサンゼルス国際空港を起点に巡る、モハーベ砂漠とデスバレー3日間のロードトリップを紹介します。

Day 1 LAX → Barstow

ロサンゼルス国際空港(LAX)を出発し、インターステート10号線からI-15号線へと車を進めていくと、徐々に都市の景色が砂漠の色に変わっていきます。西海岸特有の湿気を帯びた空気は次第に乾き、太陽の光がより強く感じられるようになると、その変化にカリフォルニアの大地の広さを実感できることでしょう。

この日の目的地は、砂漠地帯にある歴史ある街・バーストー(Barstow)。この町はデスバレーに南側からアクセスする人やラスベガスを目指すドライバーたちにの立ち寄りポイントとして知られています。2026年に100周年を迎えるルート66(Route66)も、かつてこの町を通過していました。町の中心にはルート66ゆかりのスポットがあり、市街から少し東へ進み、I-40と並行して走るナショナルトレイル・ハイウェイ(Historic Route 66)を30分ほど進めば、映画『バグダッド・カフェ』の撮影が行われたカフェも現存しています。そのすぐ近くには路面に書かれた「Route66」のサインもあり、ルート66をロードトリップで訪れた記念になる1枚を撮影することもできます。

バーストーはドライブ途中の立ち寄りスポットとして人気があることから、ガソリンスタンドだけでなく、プレミアム・アウトレットのほか、人気の「In-N-Out Burger」などファストフード店なども多数あり、遊ぶのにも、食べるのにも困りません。せっかくこの地を訪れたなら、トラックドライバー向けのサービスエリア「TA Truck Service」を覗いてみるのも面白いでしょう。アメリカ全土を走る巨大トラックがずらりと並ぶ光景は圧巻。広大な大陸を支える“物流のリアル”を間近に感じられます。そしてこの日はアウトレット近くのホテルで滞在し、翌朝のドライブに備えましょう。

Day 2 Barstow → Shoshone → Death Valley

2日目は早朝に出発し、I-15を北上してベイカー(Baker)へ。ここは“世界一大きな温度計”があることで知られ、モハーヴェ砂漠の入り口として旅人に親しまれてきました。ベイカーからCA-127号線を北上すると、徐々に標高が下がり、やがて乾いた砂の世界が広がります。デスバレー国立公園(Death Valley National Park)南端の小さな町ショーション(Shoshone)に近づくと、歴史ある「Crowbar Café & Saloon」が現れます。1920年代から続くこのダイナーは、鉱山労働者や旅人のオアシスとして愛されてきた場所。隣接するショーション博物館では、この地域の鉱山史や先住民文化も知ることができます。

ショーションを過ぎると、いよいよデスバレー国立公園らしい本格的な砂漠風景の中へと入っていきます。砂漠の中を走る道は、まるで地球の原風景の中を駆け抜けるようです。そして「Elevation Sea Level sign」のあるバッドウォーター・ロード(CA-178)の交差点を左折し、「バッドウォーター・ベイスン(Badwater Basin)」を目指します。こは海抜マイナス86 m(マイナス282 ft)に位置し、北米で最も低い場所として知られています。干上がった白い塩原はどこまでも広がり、静寂に包まれた不思議な時間を楽しむことができます。その後、ファーニスクリーク方面へと戻り、メスキーフラット砂丘などを経由して「ストーブパイプ・ウェルズ・ビレッジ(Stovepipe Wells Village)」へ。この日は国立公園内の宿泊地に滞在し、夜は人工の光がほとんど届かない砂漠の中心で、美しい星空を眺めて旅を締めくくりましょう。

Day 3 Death Valley → Olancha → Lang → LAX

最終日はCA-190号線を西へ。前日のバッドウォーターが海抜マイナス86mであったのに対し、この日のハイライトのひとつであるタウン峠(Towne Pass)の標高は1512m(4963ft)。乾いた谷底から一気に山岳地帯へと登るダイナミックなルートです。峠を越えた先、ファーザー・クロウリー・オーバールック(Father Crowley Overlook)からは、岩肌が連なる渓谷を一望することができます。またこの地は米軍ジェット機が低空飛行訓練を行う“スターウォーズ・キャニオン”の名でも知られ、運がよければ頭上を駆け抜ける戦闘機を見ることもあります。

オランチャ(Olancha)でCA-395号線へ合流し、さらに南下してCA-14号線へ。車窓からはレッドロックキャニオン州立公園(Red Rock Canyon State Park)の赤い岩肌が見え、砂漠と山脈が織りなす雄大な景観を楽しめます。ランチにはランカスター郊外の「River’s End Pub & BBQ」でブリスケットやハンバーガーを。時間に余裕があれば、帰路の途中405号線沿いにあるゲティ・センター(Getty Center)に立ち寄り、ロサンゼルスの町と太平洋を見渡す眺望を楽しむのもおすすめです。

今回紹介したルートは、わずか3日間ながらカリフォルニア州が持つ圧倒的なスケールと多様性を実感できるロードトリップになるでしょう。砂漠の静寂と都市の喧騒というカリフォルニアの二つの顔を、自らステアリングを握って体感する旅は、きっと深く記憶に刻まれるはずです。

Drive Tips

  • 総走行距離(Total Distance):約1025km
  • 注意点(Notes):デスバレーは給油ポイントが限られるため、Barstowで満タンにしておくと安心です。また真夏は気温40度を超える日も多くなるため、万一に備えて多めにミネラルウォーターを持参しましょう。