オレゴン・コーストのほぼ中央に位置するニューポート(Newport)は、海とともに歩んできた歴史を今に伝える港町です。US-101沿いにあるためアクセスがよく、ドライブの途中に立ち寄るだけでも、港のにぎわい、灯台のたたずまい、海岸の自然など、この地域の魅力がぎゅっと凝縮された景色に出会えます。
ニューポートの歴史が本格的に動き始めたのは、19世紀後半。ヤキナ湾(Yaquina Bay)は古くから先住民ヤクイナ族の生活の場でしたが、アメリカ人入植者の定住が進むと、豊かな漁場と天然の良港を背景に、オレゴン沿岸の商業拠点として発展していきました。「ニューポート(Newport)」という町名は、1866年にこの地を開発したサム・ケース(Sam Case)が、好きだったロードアイランド州ニューポートになぞらえて名付けたといわれています。
20世紀に入ると、電気と冷蔵技術の発展によって現在も主要産業である漁業を中心とする水産業が急成長を遂げました。また、第一次世界大戦期には、オレゴン沿岸地域でスプルース材(航空機用木材)の大量生産が進み、ニューポート周辺にも製材施設が設けられました。「ハワード・ヒューズの巨大飛行艇“スプルース・グース”に使われた木材がこの地域から供給された」といった逸話も残されており、海と森林資源がニューポートの発展に深く関わってきたことがうかがえます。
町の中心となるのが、ヤキナ・ベイブリッジ(Yaquina Bay Bridge)の北側に広がるHistoric Bayfrontです。木造の埠頭に漁船が並び、シーフードマーケットやレストランが軒を連ねる光景は、まさに港町の原風景。カニ漁や荷下ろしの様子が見られることもあります。シーライオンドック(Sea Lion Docks)に立ち寄れば、のんびりと昼寝をするアシカたちの姿に出会えます。



歴史を感じたい方には、1871年に建てられたヤキナ・ベイ・ライトハウス(Yaquina Bay Lighthouse)がおすすめです。オレゴン州で唯一、居住区を併設した木造の灯台が現存しており、小ぶりながらも趣ある佇まいが魅力です。内部の住居スペースを見学できるほか、灯台前の丘からは穏やかなヤキナ湾と、優雅なアーチを描くヤキナ・ベイブリッジの姿が一望できます。アールデコ様式のディテールが随所に見られるこの橋は、1936年の完成以来、US-101号線を繋ぐ重要な交通の要所であり、また町の象徴として親しまれてきました。


橋の南側には、アメリカ屈指の海洋系施設のひとつとして知られるオレゴン・コースト水族館(Oregon Coast Aquarium)があります。海洋生物の展示だけでなく、地域の海洋環境を学べるプログラムも充実しており、天候に左右されずに楽しめるスポットです。また、近くにはOMSIが運営する海洋学習施設「Coastal Discovery Center」や、キャンプ場やトレイルが整備されたサウス・ビーチ州立公園(South Beach State Park)もあります。


そして、自然の雄大さを体感したい場合は、町の北にあるヤキーナ・ヘッド・アウトスタンディング・ナチュラル・エリア(Yaquina Head Outstanding Natural Area)が外せません。US-101から数分で向かえる岬の先には、白亜のヤキナ・ヘッド灯台(Yaquina Head Lighthouse)と太平洋の迫力ある景観が広がっています。波に磨かれた丸石が敷き詰められたコブル・ビーチ(Cobble Beach)では、潮だまりの観察や野生動物との出会いも楽しめ、オレゴン・コーストらしい自然の魅力を短時間で満喫できます。
ニューポートは、海・港・歴史・自然がコンパクトにまとまっており、ロードトリップの立ち寄り先として非常に魅力的な町です。橋の造形美や灯台の佇まい、港のにぎわい、そしてすぐ近くにある自然の風景など、短い滞在でも“オレゴン・コーストらしさ”をしっかり感じられます。ポートランド(Portland)からはクルマで約2時間半、セーラム(Salem)やユージーン(Eugene)からは約1時間半でアクセスでき、日帰りドライブにも適した距離です。パシフィック・コースト・シーニックバイウェイ(Pacific Coast Scenic Byway)を走る旅の途中に立ち寄れば、思い出に残る海辺のひとときを過ごせるでしょう。
Location / Address
photo:©Travel Oregon ©Travel Oregon.com ©plusroadtrip

