ロサンゼルス（Los Angeles）西部、サンタモニカ（Santa Monica）の南に位置するヴェニス（Venice）は、芸術と自由な雰囲気に包まれた人気のビーチタウンです。20世紀初頭に開発された運河や、アーティストやパフォーマーで賑わうヴェニス・ボードウォーク、鮮やかな壁画やストリートアートなどが、訪れる人々を魅了しています。近年はブティックショップやカフェ、レストランが立ち並び、カルフォルニアらしいライフスタイルを感じられるスポットとして世界中の観光客から注目されています
ヴェニスは1905年、不動産開発業者アボット・キニー（Abbot Kinney）によって「アメリカのヴェネツィア」を目指して開発されました。町にはイタリアの水の都を模した運河やゴンドラが整備され、多くの観光客を集めました。1925年にロサンゼルス市に統合されると、人口増加に対応するため大部分の運河は埋め立てられましたが、南部の一部は無傷のまま残され、現在も美しい住宅街の景観を形づくっています。1950年代に入ると町は荒廃し、老朽化した住宅の安い家賃を求めて、ヨーロッパからの移民や若いアーティスト、詩人、作家が集まるようになりました。50年代のビート・ジェネレーション、60年代のヒッピー、70〜80年代のニューエイジなど、その時代を代表するカウンターカルチャーが息づいたヴェニスは、現在もアートと音楽、スケートボード文化の発信地として知られています。
ヴェニスビーチはサンタモニカとマリナ・デル・レイ（Marina del Rey）の間に広がる約4kmの砂浜で、ロサンゼルスを代表するビーチのひとつです。ビーチ周辺には、アウトドアジムのマッスルビーチ（Muscle Beach Venice）、スケートパーク、ビーチバレーコート、サイクリングコース、釣り桟橋などが揃い、自由な空気を満喫できます。最も有名なのはビーチに沿って延びる遊歩道、ヴェニス・オーシャン・フロント・ウォーク（通称「ボードウォーク」）。ショップやレストラン、個性的な住宅が並ぶ通りにはストリートパフォーマーやアーティストが集い、まさにヴェニスならではのエネルギッシュな雰囲気を体感できます。
住宅街に広がるヴェニス・キャナルズ（Venice Canals）は、静かに散策できる隠れた名所です。カラフルな橋と個性的な邸宅が続き、ボードウォークの賑やかさとは対照的な落ち着いた雰囲気を楽しめます。当時の面影を残すこのエリアは1982年に国家歴史登録財に指定され、歴史的価値の高い景観地区（The Venice Canal Historic District ）として守られています。
近年注目を集めているのがアボット・キニー・ブルバード（Abbot Kinney Blvd.）です。地元デザイナーのブティックやトレンド感あふれるカフェ、ファーム・トゥ・テーブルのレストランなどが立ち並び、ショッピングや食事を楽しむ人々で賑わいます。特に毎月第一金曜日に開催されるフードトラックイベントは人気が高く、多くの観光客や地元の人々が集まります。
ヴェニスへはロサンゼルス・ダウンタウンから車で約30〜40分、ロサンゼルス国際空港（LAX）からはわずか約15分とアクセスが良好です。サンタモニカやマリナ・デル・レイからも10分ほどの距離にあり、海岸線のドライブとあわせて訪れるのに最適です。周辺には有料の公共パーキングや民間駐車場が点在しており、1日料金や時間単位で利用できます。週末や観光シーズンは混雑が予想されるため、早めの到着がおすすめです。
ヴェニスはロサンゼルスを拠点に日帰りで訪れることができる理想的な観光地です。午前中にキャナルズを散策し、昼はアボット・キニー・ブルバードでランチやショッピング、午後はボードウォークやビーチでのんびり過ごすなど、1日のプランが立てやすいのも魅力です。サンタモニカやマリナ・デル・レイと組み合わせて巡るルートも人気で、ビーチタウンを渡り歩きながら、カリフォルニアらしい風景と文化を一日で堪能することができます。
Venice
Address: 300 Ocean Front Walk, Venice, CA
Web Site: Venice
photo: ©Discovery Los Angeles ©Visit California/Carol Highsmith ©Visit California/Chris Kaufman