ミシュランガイド、2025年の「ミシュランキー」を発表

2025年10月8日、ミシュランガイドはレストランの「星」に相当するホテル評価制度「Michelin Keys Selection(ミシュランキー・セレクション)」をフランス・パリ装飾芸術美術館(Musée des Arts Décoratifs)で発表しました。昨年4月に続き2回目となる今回の発表では、北米・ヨーロッパ・アジアなど世界各地のセレクションを更新。世界の優れた宿泊施設を示す新しい指標として注目を集めています。

ミシュランガイドが初めてホテルを紹介したのは1920年のこと。その後、旅人に特別な滞在体験を提供するためのホテルセレクションが誕生しました。ミシュランは2024年4月より世界の主要な旅行先15カ国で新たな評価制度となる「ミシュランキー」を順次発表してきましたが、2025年からミシュランのインスペクターはその調査範囲をさらに拡大し、世界125カ国以上、約7,000軒のホテルを調査。その中から特に優れた滞在体験を提供する2,457軒を選定しました。その内訳は、1ミシュランキーが1,742軒、2ミシュランキーが572軒、そして3ミシュランキーが143軒となっています。ミシュランキーの評価基準はサービスのみならず、デザイン、ロケーション、そして地域文化との結びつきなどが含まれているといいます。

ミシュランガイド・インターナショナルディレクターのグウェンダル・プレネック氏は2025年のミシュランキー発表に際し、次のように語っています。「創刊から125年、ミシュランガイドはホスピタリティの世界における“卓越”の定義を刷新します。ミシュランの星が世界最高のレストランを称えるように、ミシュラン・キーは忘れがたい瞬間を生み出す宿泊施設を称えます。象徴的なリゾートから隠れ家まで、ミシュラン・キーは旅人に信頼できる指針を与える存在です。」

今回の発表では、北米からも多数のホテルが選出されており、なかでもロードトリップの聖地であるカリフォルニア州とオレゴン州が存在感を示しました。カリフォルニア州からは252軒がリスト入り。太平洋沿岸のリゾートから内陸のワインカントリーまで、多彩な地域性を映し出すホテルが高く評価されています。

たとえば、セントラルコーストのワインの町サンルイスオビスポにあるスタイリッシュな空間と心地よいサービスを兼ね備えた2019年オープンのホテル、ホテル・サンルイスオビスポ(Hotel San Luis Obispo)、カルチャーと自然が調和する空間に配されたエアストリームでの宿泊体験を提供するオーハイにあるキャラバン・アウトポスト(Caravan Outpost)や、デザートモダンの文化を現代に伝えるパームスプリングスのスパローズ・ロッジ(Sparrows Lodge)も選定されています。さらに、ジョシュアツリーに囲まれた砂漠の中でエアストリームでの滞在を楽しめるオートキャプ・ジョシュアツリー(AutoCamp Joshua Tree)や、歴史ある建物をリノベーションしたパリホテル・サンディエゴ(Palihotel San Diego)など、個性豊かなホテルが選ばれています。

一方、オレゴン州からは19軒が選出されました。デポベイのSPCデポベイ(SCP Depoe Bay)は、サステナビリティとウェルビーイングをテーマにしたホテルとして評価されています。また、大学都市ユージーンのグラデュエート・バイ・ヒルトン・ユージーン(Graduate by Hilton Eugene)は、Nike発祥の地らしいカルチャーとスポーツの融合が魅力で、ローカルデザインやコレクションを通じて地域のストーリーを伝えるホテルとして知られています。

かつて旅の中で「泊まる場所」に過ぎなかったホテルは、いまやその土地を体感する“目的地”そのものへと進化しています。そして、地域の食やアート、自然とのつながりを通じて、宿泊体験そのものが旅のハイライトになっています。ミシュランキーの発表は、そんな旅の価値観の変化を象徴する出来事といえるでしょう。次の旅では、ミシュランキーを手がかりに、新しい感動に出会える宿をロードトリップの滞在先として探してみてはいかがでしょう。

Michelin Keys Selection

Official Web Site: グローバル ミシュランキー セレクション

photo:©MICHELIN Guide ©plusroadtrip ©Caravan Outpost ©AutoCamp Joshua Tree ©Palihotel San Diego @Travel Oregon