海沿いを走る Highway 1 を進み、サンタ・クルーズ(Santa Cruz)の町からビーチに向かうと、太平洋を望むビーチに沿って広がる海辺の遊園地、サンタ・クルーズ・ビーチ・ボードウォーク(Santa Cruz Beach Boardwalk)が見えてきます。どこか懐かしさを感じさせるこの風景は、アメリカ西海岸を象徴する「ボードウォーク文化」を今に伝える存在です。
Boardwalk(ボードウォーク)とは、もともと海岸沿いに整備された木製の遊歩道を起点として生まれた、アメリカ独自の海辺の文化です。内陸と海を結ぶ鉄道の開通とともに、荷物の輸送だけでなく、海辺で休暇を楽しむ人々が増えていきました。当時、砂浜を歩くことで靴やドレスが汚れるのを避けるため、リゾートシーズン限定で木製の遊歩道が設けられたのが始まりとされています。
サンタ・クルーズのボードウォークの起源は1865年、ジョン・レイブラントがサンロレンゾ川河口近くに塩水浴の公衆浴場を開いたことに遡ります。その後、浴場の増加とともに観光客が集まり、周辺にはレストランやショップが並ぶようになりました。19世紀末には、当時最も偉大なプロモーターであり起業家の一人と称されたフレッド・W・スワントンが、この地に「西のコニーアイランド」ともいえるカジノと遊歩道の建設計画を立てます。そうして誕生したのが、サンタ・クルーズ・ビーチ・ボードウォークです。

この遊園地は1907年に創業した、カリフォルニア州でも特に長い歴史を持つ遊園地で、アメリカ西海岸に残る数少ない海辺の遊園地のひとつとしてカリフォルニア州歴史建造物に指定されています。また、園内にある木製ジェットコースターのジャイアント・ディッパー(Giant Dipper)と、ルーフ・カルーセル(Looff Carousel)は、ともにアメリカの国定歴史建造物(National Historic Landmark)に指定されています。
サンタ・クルーズ・ビーチ・ボードウォークは、観光客だけでなく、地元の家族連れや学生たちが気軽に訪れ、海辺の時間を楽しめるようにと、開園以来、入園料を設けず、乗り物ごとにチケットを購入するスタイルを続けています。この方針こそが、ボードウォークが地元の人々に支えられ、今なおその文化を伝え続けている理由といえるでしょう。
ボードウォークを象徴するアトラクションが、1924年に運行を開始した木製ジェットコースター「Giant Dipper」です。太平洋を望むこのコースターは、木製ならではのきしむ音や振動、そして海を横目に走り抜ける感覚が特徴で、最新鋭のテーマパークでは味わえない体験を提供してくれます。スリルと同時に、100年近い時間の積み重なりを身体で感じられるのも魅力です。もうひとつの国定歴史建造物であるルーフ・カルーセルとあわせて楽しむことで、この場所が長年にわたり愛され続けてきた理由を、より深く実感できるはずです。

サンタクルーズ・ビーチ・ボードウォークの魅力は、アトラクションだけにとどまりません。サーファーが集まる砂浜や、運がよければアザラシや鯨などの野生動物の姿を望む太平洋の景色、そして夕暮れ時に観覧車から眺める海の絶景も、この場所ならではの楽しみです。
また、ミニゴルフやピンボールなどが楽しめる Neptune’s Kingdom にある歴史写真の展示(無料)を眺めたり、歴史ガイドの案内ボードに沿って敷地内を散策したりなど、ボードウォークの歩みをたどってみるのもおすすめです。


サンタ・クルーズ・ビーチ・ボードウォークは、目的地として訪れるのはもちろん、Highway 1 を走るロードトリップの途中で立ち寄るスポットとしても最適です。モントレー(Monterey)やフェイファー・ビッグサー州立公園(Pfeiffer Big Sur State Park)の雄大な自然を堪能する合間に、にぎやかで人の気配に満ちた海辺の時間を過ごすことで、旅に心地よいリズムが生まれます。周辺には1日定額(20ドル〜)の駐車場もあります。なお、ボードウォークの営業時間は日によって異なるため、事前に公式サイトで確認しておくと安心です。
Location / Address
photo:©Santa Cruz Beach Boardwalk © Ben Ingram ©Jenn Day

