Newberry National Volcanic Monument|火山が生み出した壮大な景観地帯

セントラルオレゴンのベンド(Bend)の南東に広がるニューベリー火山国定公園(Newberry National Volcanic Monument)は、地球のエネルギーを肌で感じられる壮大な自然景観が広がる場所です。総面積は約54,000エーカー(約218㎢)を誇り、火山、古代の溶岩流、美しい湖、そして迷路のような溶岩洞窟などが点在。セントラルオレゴンを代表する自然景観のひとつとして人気を集めています。

60万年以上前に形成されたニューベリー火山は、富士山のような単独峰ではなく、広大な台地全体が山体となる「シールド火山」です。その規模はロードアイランド州とほぼ同じ約1200平方マイル(約3108㎢)。約7万5千年前の大噴火によって巨大なニューベリー・カルデラが生まれ、直径約32kmにも及ぶカルデラ内部には、イースト・レイク(East Lake)とポーリーナ湖(Paulina Lake)の二つの湖が誕生しました。火山活動は今も続いており、このエリアは1990年に国定記念物として指定されています。

ニューベリー火山国定公園はデシューツ国有林内に位置し、ラバ・ランド(Lava Lands)、ラバ・キャスト・フォレスト(Lava Cast Forest)、ニューベリー・カルデラ(Newberry Caldera)の3つのエリアに分かれています。
ベンド側の玄関口となるラバ・ランドは、約7000年前のラバ・ビュートの噴火で形成されたギザギザの溶岩原が広がり、その景観はまるで黒い海のよう。1960年代にはNASAの宇宙飛行士が月面歩行訓練を行った場所としても知られています。ラバ・ランズ・ビジターセンターでは火山の成り立ちを学べる展示があり、溶岩の大地を間近に観察できるトレイルが整備されています。さらに、車で山頂近くまで上がれるラバ・ビュートからは、カスケード山脈の峰々と果てしなく続く溶岩原のコントラストを一望できます。近くにはオレゴン州最長の溶岩洞、全長1.6kmのラバ・リバー・ケーブ(Lava River Cave)もあり、暗闇の世界を探検する特別な体験ができます。

一方、ラバ・キャスト・フォレストは、かつて森だった場所に溶岩が流れ込んだことで形成された「樹型(tree molds)」が点在する不思議なエリアです。木が焼け落ちたあと、冷え固まった溶岩にその形が刻まれたもので、荒涼とした大地の中に立ち並ぶ輪郭はどこか神秘的。1.6kmの散策路が整備されており、自然の造形美をゆっくりと楽しむことができます。

そしてハイライトとなるのが、広大なニューベリー・カルデラです。標高2,334mのパウリナ・ピーク(Paulina Peak)からはカルデラ全体の絶景が広がり、山頂近くまで車でアクセスできる手軽さも魅力です。標高1,900m前後に位置するイースト・レイクとポーリーナ湖では、釣りやキャンプ、トレイル、カヤックなどのアクティビティが楽しめ、夏になると湖畔で過ごす旅行者でにぎわいます。ポーリーナ湖の東岸では天然の温泉が湧き、湖畔の砂を掘ると温かい湯がにじむユニークな体験も人気です。また、カルデラ南側に広がるオブシディアン・フロー(Obsidian Flow)は、黒曜石が堆積した溶岩原が続く場所で、太陽の光を受けて黒い結晶が輝く光景が印象的です。この地に積み重ねられた火山の歴史を目の前で感じられるスポットとしてぜひ訪れたい場所です。

ニューベリー国立火山記念物を訪れるベストシーズンは6月下旬から9月。10月中旬以降は積雪や凍結により道路閉鎖や施設休業が始まるため、訪問前には公式サイトで天候や道路状況を確認することをおすすめします。

ベンドを起点にすれば、ラバ・ビュートからオブシディアン・フロー、そしてポーリーナ湖へと続く景観を数時間のドライブで巡ることができます。セントラルオレゴンの地質の多様性と火山がつくり出した大地の力強さを体感できる、忘れられないロードトリップになるはずです。

Location / Address

Newberry National Volcanic Monument
Bend, OR

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