West Cascades Scenic Byway|滝と湖と原生林、オレゴンの自然美を巡る絶景ルート

ウェスト・カスケード・シーニックバイウェイ(West Cascades Scenic Byway)は、オレゴン州カスケード山脈西側を南北に縦断する全長約220マイル(約354km)のドライブルートで、National Scenic Byway に指定されています。ユージーン(Eugene)南東のウェストファー(Westfir)から出発し、マッケンジー川流域やデトロイト湖を経て、ポートランド(Portland)郊外のエスタカダ(Estacada)へと至ります。

ルート沿いは降水量の多い気候に育まれた深い森林に覆われ、スポッテッドオウルやハクトウワシ、エルクやシカなどの野生動物の生息地です。マッケンジー川(McKenzie River)やクラカマス川(Clackamas River)ではサケやニジマスが遡上し、釣りの名所としても知られています。走行中は、雪をいただくジェファーソン山やスリーシスターズといった名峰を望むことができ、常にダイナミックな山岳景観に包まれます。

バイウェイのスタートは、ウェストファーにあるオレゴン最長のカバードブリッジ「オフィスブリッジ(Office Bridge)」。全長約55mのこの橋は、1979年に国家歴史登録財に指定されています。ここから国有林道路19号、別名アウフダーハイデ・ナショナルフォレスト・シーニックバイウェイ(Aufderheide National Forest Scenic Byway)を北上します。

この区間は、マッケンジー川の南支流とウィラメット川の北支流に沿って進み、滝のように流れ落ちる小川や樹齢200年以上のダグラスファーが生い茂る森が広がります。途中には「コンスティテューション・グローブ(Constitution Grove)」、水辺のアクティビティや温泉が楽しめるクーガー貯水池(Cougar Reservoir)などの見どころも点在。終点のデルタキャンプ場(Delta Campground)では、樹齢500年の巨木が並ぶ原生林を歩くことができます。

バイウェイはオレゴン州道126号へ合流し、マッケンジー川沿いをサンティアム・ジャンクションまで進みます。冷たく澄んだ川はラフティングや釣りで人気が高く、周囲にはキャンプ場やトレイルも豊富です。マッケンジー・ブリッジ・レンジャーステーション(McKenzie Bridge Ranger Station)では最新のアウトドア情報を入手できます。

この区間のハイライトは落差30mのサハリー滝(Sahalie Falls) と、すぐ下流にあるコイア滝(Koosah Falls)。2つの滝を結ぶ遊歩道は、全長27マイル(約43.5km)のマッケンジー国立レクリエーショントレイルの一部で、滝と原生林の両方を楽しめる人気のハイキングコースです。

さらに進むと、透明度抜群のクリアレイク(Clear Lake)に到着します。約3,000年前の溶岩流によってせき止められて生まれた湖で、水深30mの湖底には沈んだ森林がそのまま残っており、夏にはカヌーやシュノーケリングでその姿を間近に見ることができます。

バイウェイは、サンティアム・ジャンクションから州道22号へと入ります。しばらく進むと、キングサーモンの孵化場として知られるマリオン・フォークス孵化場(Marion Forks Fish Hatchery)に立ち寄れます。その先に現れるのが、長さ14kmに及ぶ大規模な貯水湖デトロイト湖(Detroit Lake)。ボートやカヤック、キャンプなど四季を通じて多彩なアウトドアが楽しめ、湖畔の町デトロイトには宿泊やレストランも整っています。

デトロイトからは国有林道路46号、別名クラカマス・ブライテンブッシュ・シーニックバイウェイ(Clackamas-Breitenbush National Forest Scenic Byway)を北上。ブライテンブッシュ川沿いに広がる手つかずの自然地帯へと入ります。途中では天然温泉リゾート「ブライテンブッシュ・ホットスプリングス(Breitenbush Hot Springs)」での入浴体験や、オラリー湖やマウント・ジェファーソン原生地をめぐるハイキングも楽しめます。

さらに進み、リップルブルックから州道224号に入ると、ワイルド&シーニックリバーに指定されたクラカマス川沿いの道へ。急流と静かな瀞場が織りなす景観を眺めるドライブが楽しめます。川沿いは釣りやピクニックに最適で、インディアン・ヘンリーやノースフォーク貯水池などキャンプ場も点在しています。そして、バイウェイは終点のエスタカダへ。かつて水力発電と製材業で栄えたこの町は、現在はポートランドから車で約40kmとアクセスがよく、アウトドアの拠点として人気を集めています。

ウェスト・カスケード・シーニックバイウェイは、ユージーン(Eugene)からポートランド(Portland)への「最短ルート」ではありませんが、緑豊かな原生林や清流、雪山の眺望を網羅した、まさにオレゴンらしい自然美が凝縮された絶景ルートです。釣り、ハイキング、温泉、湖上レジャーなど四季を通じて楽しめるアクティビティも豊富です。単なる移動路ではなく、オレゴン西部の自然と文化を巡るNational Scenic Bywayのロードトリップに出かけてみてはいかがでしょう。

ロードトリップ計画のポイント

ウェスト・カスケード・シーニックバイウェイは、春の野花から秋の紅葉まで四季折々の自然の景観と、多彩なアクティビティを楽しむことができます。観光を含めれば最低でも1日以上のドライブ計画を立てるのがおすすめです。
立ち寄りスポットの駐車場は台数が限られる場所も多いので、平日や早朝の訪問が安心です。また、区間によっては給油や食料調達が難しいため、事前に準備を整えて出発することをおすすめします。携帯電話が圏外となる場所もあるので、オフライン地図をダウンロードしておくと安心です。なお、冬期には積雪で一部区間は閉鎖となるので、出発前には最新の道路状況の確認をお忘れなく。

West Cascades Scenic Byway
Web Site: West Cascades Scenic Byway


All-American Roadとは?

全米シーニック・バイウェイ・プログラムの中で最上位に位置づけられる称号で、米国内でも限られたルートだけに与えられています。指定を受けるためには、風景の美しさだけでなく、歴史や文化、考古学的価値、レクリエーション性といった複数の資質を兼ね備えていることが条件。つまり、単なる移動のための道ではなく、その道自体が「訪れることを目的とする価値」を持ち、世界的に注目される観光資源であることを評価基準としています。

National Scenic Bywayとは?

1991年に創設された全米シーニック・バイウェイ・プログラムの下で認定される道路の総称で、地域の景観や自然環境、歴史、文化などに顕著な価値を持つことが条件。全米各地に点在するバイウェイは、それぞれが地域の特色を映し出すものであり、訪れる人に土地の個性や物語を伝える役割を果たしています。指定を受けた道路では、沿線の観光資源や文化的遺産の保護・活用も進められ、ドライバーは単に景色を眺めるだけでなく、地域の歴史や文化を体験しながら走ることができます。旅行者にとっては、アメリカの多様な風土を理解するうえで最適なルートといえるでしょう。

オレゴン州のAll-American Road & National Scenic Byway

All American Road
Historic Columbia River Highway Scenic Byway
Hells Canyon Scenic Byway
Volcanic Legasy Scenic Byway
Pacific Cast Scenic Byway

National Scenic Byway
West Cascades Scenic Byway
McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway
Mt. Hood Scenic Byway
Oregpn Outback Scenic Byway
Rougue-Umapqua Scenic Byway
Cascade Lakes Scenic Byway

Web Site: Oregon State Roadmap

photo: ©Travel Oregon © Eugene, Cascades & Coast © Melanie Griffin / Eugene, Cascades & Coast ©Turell Group / EugeneCascadesCoast.org ©Thomas Moser / EugeneCascadesCoast.org