サンタクルーズ(Santa Cruz)のダウンタウンから内陸へと続く Highway 9 を車で走ると、景色はゆっくりと変化していきます。潮の香りが遠のき、代わりに湿り気を帯びた森の空気に包まれる。その先に広がるのが、ヘンリー・カウエル・レッドウッド州立公園(Henry Cowell Redwoods State Park)です。サンタクルーズ山脈に位置し、約4650エーカーの広大な敷地の中でも、特に40エーカーにわたり原生のレッドウッドの森が残されていることで知られています。
この地域は古来、ネイティブアメリカンの人々が豊かな自然の恵みの中で暮らしていた土地でした。19世紀になると、この公園の名の由来となる実業家 ヘンリー・カウエルがこの地で石灰産業を営み、製造に必要な燃料や資材としてレッドウッドの伐採も行われました。
また同時期、隣接するエリアでは起業家ジョセフ・ウェルチが森の景観を生かしたグリーンリゾートを開発します。このリゾートには探検家ジョン・C・フレモントやアンドリュー・カーネギー、セオドア・ルーズベルト大統領らも訪れました。当時、イギリスの媒体がこの森の取材を希望したが許可されず、結果として別のレッドウッドの森が海外に紹介されることになりました。しかし、この出来事はレッドウッドの森そのものへの関心を呼び起こす契機ともなりました。
その後、豊かな自然を守ろうとする機運が徐々に広がり、ウェルチ家はサンタクルーズ郡とともに公園設立に向けた土地取得を進めました。ヘンリー・カウエルの死後、その遺産を引き継いだ家族が土地の一部を州に寄贈し、1954年に州立公園として正式にオープンしました。

園内の40エーカーに残る原生レッドウッド林を支えているのは、近くを流れるサンロレンゾ川と、太平洋から届く霧です。夏でも湿り気を帯びた空気が森を包み込むこの独特の気候に育まれ、樹齢1,000年以上とされる巨木が立ち並びます。見上げると空を覆うように枝葉が広がり、最大の木は高さ約277フィート(約84m)、樹齢は約1,500年と推定されています。
園内には自然を楽しむトレイルがいくつも整備されています。なかでも人気なのが約0.8マイル(約1.3km)の Redwood Grove Loop Trail です。ほぼ平坦で歩きやすく、初めてレッドウッドの森を訪れる人にも適しています。探検家ジョン・C・フレモント中尉が、空洞になった幹の内部でキャンプをしたと伝えられる「Fremont Tree」も見どころのひとつです。


また、公園に隣接する ロアリング・キャンプ・レイルロード(Roaring Camp Railroads)では、かつての森林鉄道の歴史を体験することができます。蒸気機関車に揺られながら森を進む体験は、レッドウッドが資源として伐採されていた時代を思い起こさせます。園内に残る石灰窯の後や鉄道という産業の視点から見直すことで、この地域の歴史がより立体的に浮かび上がります。

アクセスは Santa Cruz 市内からHighway 9を車で約20分。ビジターセンター周辺に駐車場があり、入園は車両1台につき$10(普通車)で、現地の看板に表示されたQRコードなどによるキャッシュレス決済のみとなっています(最新情報は公式サイトで確認を)。営業時間は日の出から日没まで。公園入口にあるビジターセンター(10時〜16時)で最新情報を入手してから散策を始めるのがおすすめです。
Highway 9の起点となるサンタクルーズのダウンタウンからは、海沿いを走るHighway 1にアクセスすることもできます。静謐な森の時間と賑やかな太平洋に面した賑やかなビーチを組み合わせたロードトリップを計画することもできます。ヘンリー・カウエル・レッドウッド州立公園は、壮大なレッドウッドの森を堪能できるだけでなく、古代から産業の時代、そして自然保護へと至るカリフォルニアの歴史の一端に触れられる場所でもあります。
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photo:©Santa Cruz Beach Boardwalk © Ben Ingram ©Impact Creative © Garrick Ramirez

