ロサンゼルス(Los Angeles)から車で1時間ほど、カマリロ空港(Camarillo Airport)の一角にあるコメモラティブ・エア・フォース南カリフォルニア支部(Commemorative Air Force Southern California Wing、以下CAF SoCal)は、第二次世界大戦期の軍用機を中心に航空遺産を保存・公開している施設です。格納庫をそのまま博物館として一般に開放しており、往時の航空機を間近で見られる貴重な体験のできるスポットとして知られています。
CAF は1957年に設立された団体で、アメリカ軍で使用されてきた航空機の保存に尽力し、当時の機体や技術、文化を後世に伝えることを目的としています。現在では全米に支部があり、1981年に設立されたCAF SoCalはその中でも規模の大きいユニットのひとつです。南カリフォルニアは航空産業が発展した地域で、ロッキードやノースロップなど多くの航空メーカーが集まった歴史を持ちます。CAF SoCalは、そうした地域の航空文化と結びつきながら、第二次世界大戦期の航空機の保存・修復活動を続けています。

ハンガーではボランティアによって丁寧に整備される機体の姿を目にすることができます。第二次大戦航空博物館(World War II Aviation Museum)としても知られるCAF SoCalには、第二次世界大戦時代の航空機が14機保有されています。ただし一般公開されているのは格納庫内に展示されている機体が中心で、一部は修復作業のため非公開です。展示されている機体には、アメリカ海兵隊仕様のPBJミッチェル(B-25の派生型)をはじめ、F8Fベアキャット、F6Fヘルキャット、そして三菱A6M3ゼロ(零戦)など、歴史的価値の高いモデルが並びます。保有されている機体のうち11機は飛行可能な状態で保存されており、プロペラの回る音やエンジンの振動、機体の存在感から、当時の航空技術の息づかいをリアルに感じ取ることができます。
また、ハンガーには、第二次世界大戦期の日米間の航空戦に関する資料や、各機体が果たした役割を解説する内容も含まれています。ボランティアガイドからは歴史的背景を踏まえた機体の設計思想や技術背景、当時の航空文化について丁寧な説明を聞くことができます。



ハンガー内の見学エリアは開放的で、修復作業の様子が間近で見られるのもCAF SoCalの魅力です。機体の下でボランティアが作業する光景や、補修中の翼、エンジン内部のディテールなど、通常の航空博物館ではなかなか目にできない“現場の空気”が漂っています。コックピットを外からのぞける機体もあり、当時のパイロットがどのような環境で飛んでいたのかを想像しながら見学できます。


施設は木曜日・金曜日・土曜日が10:00〜16:00、日曜日は12:00〜16:00に開館しています。入場料は寄付として支払う形式で、大人$15、学生(10~18歳)$10、子供(6~10歳)$5、6歳未満は無料です。所要時間は1〜1.5時間ほどで、広い施設の中をゆっくりと見学することができます。
また、飛行可能な機体を使った有料のフライト体験が行われる日もあり、離陸や着陸の迫力ある様子を間近で見られる特別な機会となっています。条件が合えば、PBJ(海兵隊仕様のB-25)やSNJ(海軍練習機)、PT-19(開放式コックピットを持つ Fairchild 製の初等練習機)といった実機に乗り込むプログラムも用意されており、現役当時の空気をいまに感じられる貴重な体験となっています。イベントの日程は公式サイトで確認できます。



アクセスはUS-101の55番出口を降りてすぐと便利で、空港内には無料駐車場があります。ロサンゼルスからは約1時間、サンタバーバラ(Santa Barbara)から40分、ベンチュラ(Ventura)からは20分ほどでアクセス可能です。周辺にはカマリロ・プレミアム・アウトレット(Camarillo Premium Outlets)、Camarillo Ranch、Ventura Harbor、オックスナード(Oxnard)のチャネル・アイランズ周辺など、ドライブで回りやすいスポットが点在しています。貴重な体験のできるCAF SoCalの訪問を、セントラルコースト周辺の町と組み合わせながら、ロードトリップに取り入れるのもおすすめです。
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photo:©plusroadtrip

