アナハイムにあるホンダセンターが、2028年にロサンゼルスで開催される夏季オリンピックの正式会場名として採用されることになりました。オリンピックの会場に企業名が残るのは史上初めてのことであり、これまでの「クリーン会場ポリシー」を大きく転換する試みとして注目を集めています。ホンダセンターでは室内バレーボール競技(Indoor Volleyball)が行われる予定で、地元の人々にとってはおなじみの会場が、世界最大のスポーツイベントの舞台へと姿を変えることになります。
ホンダがこの舞台で重要な役割を担う背景には、同社がロサンゼルス大会“LA28”の自動車パートナーとなったことがあります。2025年にチームUSAのオートモーティブパートナーに就任し、車両提供や大会運営のサポートを行うと発表。ホンダは2026年のミラノ冬季オリンピックから支援を開始し、ロサンゼルス大会ではさらに大規模な展開を予定しています。長年にわたりアメリカ市場で事業を拡大してきた企業にとって、オリンピックとの結びつきは必然ともいえる流れと言えるでしょう。

ホンダとロサンゼルスの関係は深く、1959年6月にロサンゼルスに初の米国拠点を設立したことに始まります。以来60年以上にわたり事業を拡大し、現在では全米各地で3万人以上の従業員を雇用する企業になっており、アメリカでの成長の礎を築いたこの地で、ホンダがオリンピックに関与することには歴史的な意味があります。環境対応車や次世代モビリティへの投資を進める同社にとって、オリンピックという舞台は未来志向の企業像を世界に発信する絶好の機会にもなるはずです。企業の歩みと地域の歴史が、世界的なイベントを通じて結びついたともいえるでしょう。

ホンダセンターそのものも、地域を代表する施設として長年愛されてきた場所です。1993年の開業以来、NHLチーム「アナハイム・ダックス」の本拠地として知られ、有名アーティストのコンサートやスポーツイベントを多数開催してきました。2006年にはホンダが命名権を取得し、2020年には契約を延長。その名称はすでに地域に定着し、アナハイムを象徴するランドマークのひとつとなっています。そうした施設がオリンピックの正式名称として世界に紹介されることは、地元にとっても誇り高い出来事になっています。
ホンダセンターのあるアナハイムはディズニーランド・リゾートやエンジェルスタジアムをはじめ、オレンジカウンティの観光拠点として知られる街です。ロサンゼルス国際空港から車で約40分ほどと近く、ロードトリップでこの地を訪れる旅行者にとっても、ホンダセンターはスポーツや音楽を楽しむ場として立ち寄る価値のある場所のひとつ。2028年のオリンピックでは世界中から観客が集まり、この会場で過ごす時間が旅の記憶を彩ることになるでしょう。

大会開催まで3年を切り、ロサンゼルス各地でその準備が進んでいます。既存施設の改修、新しい交通インフラの整備など、都市全体が着実に進化を遂げています。そんななかで、オリンピックの会場名に日本の企業名が残るという歴史的な出来事は、ロサンゼルス大会を特徴づける要素のひとつ。ホンダセンターをめぐる今回の発表は、オリンピックを前に進化するロサンゼルスを象徴するニュースになっています。大会までの数年間、この都市がどのように姿を変えていくのか。ロードトリップで訪れる観光客の視点からも、その変化を見届けたくなります。
Honda Center
Address: 2695 E Katella Ave, Anaheim, CA
Web Site: Honda Center
photo: ©Visit Amaheim ©American Honda Motor