ロサンゼルス（Los Angeles）の中でもひときわ洗練された町として知られるビバリーヒルズ（Beverly Hills）。高級ブティックやセレブの邸宅が並ぶ町のイメージとは裏腹に、静けさと緑に包まれた歴史的スポットが点在しています。その象徴ともいえるのが、ビバリーヒルズの丘に佇むグレイストーン・マンション＆ガーデンズ（Greystone Mansion & Gardens）です。
1928年、石油王エドワード・L・ドハニーが息子エドワード・ジュニアのために建てたこの邸宅は、イギリスのチューダー様式を取り入れた壮麗なデザインが特徴です。約18エーカー（7ヘクタール）におよぶ敷地には、石造りのマナー・ハウスをはじめ、噴水や花壇、階段状の庭園が美しく整備され、まるで映画のワンシーンのような光景が広がります。訪れる人々は、優雅な時代の空気を感じながらゆったりと散策を楽しめます。1976年に国家歴史登録財に登録され、2013年にはビバリーヒルズ地域歴史建造物にも指定されました。
グレイストーン・マンションは、ハリウッド黄金期の面影を今に残す場所でもあります。キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ主演の映画『ホリデイ (The Holiday)』をはじめ、『バットマン＆ロビン（BATMAN & ROBIN）』、『ゴーストバスターズ（Ghostbusters）』など、数多くの作品のロケ地として知られ、庭園やホールは撮影やイベントにもたびたび利用されています。館内の見学は、1月から11月にかけて開催される特別イベント時のガイドツアー（有料）のみですが、庭園を自由に歩くだけでも十分に見応えがあります。
通常は毎日午前10時から午後6時まで開園し、入場は無料。敷地内には無料駐車場も完備されています。ロサンゼルス（Los Angeles）のダウンタウンからは車で約20分、サンセット・ブルーバード（Sunset Blvd）を北へ進み、ドハニー・ロード（Doheny Rd）を登っていくルートが一般的です。車窓から見える並木道や丘の上の景観も美しく、目的地に着くまでの道のり自体が小さなドライブ体験となります。
グレイストーン・マンションの周辺には、ビバリーヒルズらしい見どころが点在しています。丘を下ると、ロデオドライブ（Rodeo Drive）を中心にしたショッピングエリアが広がり、そのすぐそばには、ビバリーヒルズの象徴的な“BEVERLY HILLS”サインをはじめ、噴水や季節の花々、アート作品を楽しめる「ビバリー・ガーデンズ・パーク（Beverly Gardens Park）」があります。ロデオドライブを抜けてクルマを走らせれば、パームツリーが並ぶビバリー・ドライブやサンタモニカ・ブルーバードなど、南カリフォルニアらしい明るい風景が続きます。
また映画ファンなら、マリリン・モンローをはじめとするセレブたちに愛された「ビバリーヒルズ・ホテル（The Beverly Hills Hotel）」にも立ち寄りたいところ。1912年創業の歴史あるホテルで、“The Pink Palace”の愛称で知られています。さらに足を延ばせば、ジェームズ・ディーン主演『理由なき反抗（Rebel Without a Cause）』や『ラ・ラ・ランド（La La Land）』など、数多くの名作に登場する「グリフィス天文台（Griffith Observatory）」や、撮影の裏側を体感できる「ワーナー・ブラザーズ・スタジオ・ツアー・ハリウッド（Warner Bros. Studio Tour Hollywood）」など、映画の世界と現実が交差するスポットも車でアクセスできます。
歴史的建築、緑の公園、そして華やかな街並み。ビバリーヒルズのドライブは、その周辺を含め、短い距離の中に南カリフォルニアらしい上質な体験が凝縮されています。グレイストーン・マンション＆ガーデンズを出発点に、静けさと美に包まれたビバリーヒルズの魅力を車でゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
Location / Address
Official Web Site: Greystone Mansion & Gardens
photo:©Beverly Hills Conference & Visitors Bureau