McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway|火と氷が創り出したカスケード山脈の絶景ルート

マッケンジー・パス=サンティアム・パス・シーニックバイウェイ(McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway)は、オレゴン州中央部のカスケード山脈を横断する全長82マイル(約132km)のループルートで、National Scenic Bywayに指定されています。高山地帯の溶岩原や雪をいただく火山の峰々、そしてカスケード山脈ならではの雄大なパノラマが続く、まさに「火と氷」が生み出した自然の造形美を満喫できるルートです。

このバイウェイは、オレゴン州のなかでもとりわけダイナミックな地形変化を体感できるドライブコースとして知られています。東側には乾いた草原とロッジポールパインの森が広がり、峠を越えると一転してモミやレッドシダーの深い森、そして苔むした緑の渓谷へと景観が移り変わります。また、黒々とした溶岩原と雪をかぶる氷河の峰々が対照的な美しさ描き出すこのエリアは数千年前から続く火山活動と氷河の力が刻んだアメリカ屈指の地質学的エリアでもあります。

ルートの起点は、山岳リゾートの町シスターズ(Sisters)。南西にそびえる標高10,000フィート(約3,048m)のスリー・シスターズ(Three Sisters Peaks)にちなんで名付けられたこの町は、西部開拓時代の雰囲気を残しつつ、アートギャラリーやカフェが並ぶ観光拠点です。出発前にここで給油やランチなど食料の準備をしておくのがおすすめです。

町を出て州道242号、別名オールド・マッケンジー・ハイウェイ(Old McKenzie Highway)に入ると、最初の見どころであるマッケンジー峠(McKenzie Pass)を目指します。この道は、19世紀に幌馬車用の有料道路として整備された歴史あるルートです。ウィンディ・ポイント(Windy Point)の森林を抜けると、マウント・ワシントンと溶岩流が織りなす息をのむような眺望が広がります。標高1,600mを超える峠には、1930年代に溶岩を積み上げて建てられたディー・ライト展望台(Dee Wright Observatory)があり、晴れた日には6つのカスケードの峰々を一望できます。黒い岩肌と雪を頂く山々のコントラストは圧巻で、まるで別世界に迷い込んだようです。

峠を下ると、ウィラメット国有林(Willamette National Forest)の中へ。ノース・シスターやミドル・シスターの雄大な姿を眺めながら走るこの区間では、スコット湖(Scott Lake)やプロキシー滝(Proxy Falls)など、立ち寄りたい絶景スポットが点在します。特にプロキシー滝は、苔に覆われた岩肌を幾筋もの水が流れ落ちる幻想的な景観で人気があります。

ルートはやがてオレゴン州道126号、別名マッケンジー・ハイウェイ(McKenzie Highway)へと合流します。清流マッケンジー川沿いのこの区間は、ラフティングや釣りのメッカとして知られ、キャンプ場やトレイルも多く整備されています。マッケンジー・ブリッジ・レンジャーステーション(McKenzie Bridge Ranger Station)では、最新の自然情報やトレイルマップを入手できます。

さらに進むと、落差約30メートルのサハリー滝(Sahalie Falls)と、すぐ下流にあるコーサ滝(Koosah Falls)が現れます。両滝をつなぐ遊歩道は、全長27マイル(約43km)のマッケンジー・リバー・ナショナル・レクリエーショントレイルの一部で、原生林と滝の美を同時に楽しめる人気のハイキングコースです。

その先にあるクリアレイク(Clear Lake)は、約3,000年前の溶岩流によって形成された透明度抜群の湖で、湖底には当時沈んだ森がそのままの姿で残っています。夏にはカヤックやSUP、スノーケリングなどでその幻想的な風景を間近に見ることができます。

近くのフィッシュレイク補給所跡(Fish Lake Remount Depot)では、森林局やCCC(Civilian Conservation Corps)時代の歴史を学ぶこともでき、開拓時代の厳しい自然との共存の記録に触れることができます。

フィッシュレイクを過ぎて国道20号と州道22号に合流すると、サンティアム峠(Santiam Pass)へ。標高4,817フィート(約1,468m)のこの峠は、かつてこの地に暮らした先住民族サンティアム族にちなんで名付けられました。峠の手前には冬季に賑わうフッドゥー・スキーエリア(Hoodoo Ski Area)や、夏季にキャンプや釣りが楽しめるビッグレイク(Big Lake)など、季節ごとのアクティビティスポットが揃っています。峠周辺からはマウント・ワシントンの雄姿が望め、氷河が刻んだ山容が圧倒的な存在感を放ちます。

峠下り区間では、氷河に削られた細長いサトル湖(Suttle Lake)が広がり、その先にはメトリウス川の源流を抱くキャンプシャーマン(Camp Sherman)やメトリウス・スプリングス(Metolius Springs)があります。透明な水が湧き出る川は世界中のフライフィッシャーに人気で、バックにジェファーソン山(Mt. Jefferson)を望む絶景の中で釣りや散策が楽しめます。やがて左手に標高6,436フィート(約1,962m)のブラックビュート山(Black Butte)がそびえ、雄大な風景の中を進むと再びシスターズの町に戻ります。

マッケンジー・パス=サンティアム・パス・シーニックバイウェイは、溶岩原や氷河湖、滝、森林など、カスケード山脈の自然を凝縮したようなルートです。火山と氷河がつくり出した劇的な地形美と、季節ごとに異なる森の表情を楽しめるこのドライブルートは、オレゴンの自然の奥深さを体感できる特別な旅となるでしょう。

ロードトリップ計画のポイント

このバイウェイを一周できるのは7月から10月。11月から翌年6月までは、州道242号(オールド・マッケンジー・ハイウェイ)が積雪のため閉鎖されます。走行距離は約132km、所要時間は3〜5時間が目安です。沿道にはガソリンスタンドや売店がほとんどないため、出発前にシスターズまたはベンド(Bend)で十分な準備を整えておくことをおすすめします。日帰りドライブに最適ですが、ロッジなどに宿泊しながらじっくり自然を満喫するのもよいでしょう。

McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway
Web Site: McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway


All-American Roadとは?

全米シーニック・バイウェイ・プログラムの中で最上位に位置づけられる称号で、米国内でも限られたルートだけに与えられています。指定を受けるためには、風景の美しさだけでなく、歴史や文化、考古学的価値、レクリエーション性といった複数の資質を兼ね備えていることが条件。つまり、単なる移動のための道ではなく、その道自体が「訪れることを目的とする価値」を持ち、世界的に注目される観光資源であることを評価基準としています。

National Scenic Bywayとは?

1991年に創設された全米シーニック・バイウェイ・プログラムの下で認定される道路の総称で、地域の景観や自然環境、歴史、文化などに顕著な価値を持つことが条件。全米各地に点在するバイウェイは、それぞれが地域の特色を映し出すものであり、訪れる人に土地の個性や物語を伝える役割を果たしています。指定を受けた道路では、沿線の観光資源や文化的遺産の保護・活用も進められ、ドライバーは単に景色を眺めるだけでなく、地域の歴史や文化を体験しながら走ることができます。旅行者にとっては、アメリカの多様な風土を理解するうえで最適なルートといえるでしょう。

オレゴン州のAll-American Road & National Scenic Byway

All American Road
Historic Columbia River Highway Scenic Byway
Hells Canyon Scenic Byway
Volcanic Legasy Scenic Byway
Pacific Cast Scenic Byway

National Scenic Byway
West Cascades Scenic Byway
McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway
Mt. Hood Scenic Byway
Oregpn Outback Scenic Byway
Rougue-Umapqua Scenic Byway
Cascade Lakes Scenic Byway

Web Site: Oregon State Roadmap

photo: ©Travel Oregon ©Eugene, Cascades & Coast ©Cody Rheault © Melanie Griffin / Eugene, Cascades & Coast ©Sally McAleer / Eugene, Cascades & Coast ©Thomas Moser / EugeneCascadesCoast.org ©Wyatt Pace / Eugene, Cascades & Coast