Mt. Tabor Park|ポートランドの町を見下ろす火山の上の自然公園

ポートランド(Portland)の東部に位置するマウント・テイバー・パーク(Mt. Tabor Park)は、アメリカでも珍しい都市内にある死火山の上に広がる自然公園です。1909年に開園したこの公園は、ダウンタウンから車で約15分とアクセスしやすく、地元の人々に親しまれる憩いの場でありながら、旅行者にとってもポートランドらしい自然と眺望を気軽に体験できる穴場スポットです。

マウント・テイバー(Mt. Tabor )は、約30万年前に形成された標高約194mの死火山で、現在は火山活動の心配はありません。ポートランド市内には、マウント・テイバーを含む3つの火山丘があり、いずれも現在は活動を停止しています。園内を歩くと、なだらかな丘のような地形や火山性の岩石が見られ、都市にありながら地質学的なユニークさを感じることができます。

公園の敷地面積は約200エーカー(約81ha)と広大で、ハイキングトレイルやジョギングコース、バスケットボールコート、ドッグパーク、ピクニックエリアなどが整備されています。都市公園としての機能性と、自然との一体感を兼ね備えた空間は、多くの市民に愛されてきました。その設計には、セントラルパークを手がけたフレデリック・ロー・オルムステッドの息子たちによる「オルムステッド兄弟事務所」の景観設計思想が取り入れられており、都市と自然が美しく調和する造りとなっています。

公園の頂上付近にある展望台からは、ダウンタウン・ポートランドの街並みやウィラメット川を一望することができ、晴れた日にはオレゴン州の象徴ともいえるマウント・フッド(Mt. Hood)の雄姿を望むこともできます。朝日や夕暮れ時の空と街の光が織りなす風景は、フォトスポットとしても人気が高く、季節を問わず多くの人が訪れます。展望台近くには駐車場があり、クルマでアクセスすることも可能です。

公園内には、1900年代初頭に建設された3つの歴史的な貯水池(Reservoir No.1、No.5、No.6)があり、かつてポートランド市の給水システムの一部として長年使用されてきました。これらの構造物は石造りの美しい意匠を持ち、景観の一部として保存されています。2004年には国家歴史登録財(National Register of Historic Places)に指定され、文化的・建築的価値の高いランドマークとして現在も残されています。

マウント・テイバー・パークは、ポートランド国際空港(PDX)やダウンタウンから車で15〜20分ほどとアクセスも良好で、園内には複数の無料駐車場があります。平日は比較的空いていますが、週末やイベント時には混雑することもあるため、午前中の訪問がおすすめです。公園の営業時間は5時〜23時59分まで、車両アクセス時間は5時〜22時までとなっています。すぐ近くには、人気のフードカートポッドホーソーン・アシュラム(Hawthorne Asylum)をはじめ、個性的なカフェやショップが並ぶホーソン通り(Hawthorne Boulevard)もあり、散策の前後に立ち寄るのも楽しみのひとつです。

自然の中を歩きながら、地質や歴史、都市景観まで多角的に楽しめるマウント・テイバー・パークは、ポートランドをレンタカーで巡るドライブの途中に立ち寄るにも最適なスポットです。市街地からすぐにアクセスできる自然と眺望のオアシスで、ポートランドのもうひとつの魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

Location / Address

Mt. Tabor Park
SE Salmon Way and, SE Park Dr, Portland, OR

Official Web Site: Mt. Tabor Park

photo: ©Travel Portland ©Justin Katigbak, Travel Portland