美しい海岸線が続くオレゴン・コーストの中でも、とりわけ印象的な風景が広がるのが、ヘセタヘッド・ライトハウス(Heceta Head Lighthouse)です。険しい断崖の上にたたずむこの灯台は、「アメリカ西海岸でもっとも写真に撮られている灯台」とも称され、観光客はもちろん、写真家やハイカー、歴史ファンにも人気のスポットとなっています。
灯台が建つヘセタ岬(Heceta Head)の名は、1775年にこの地域を航海・測量したスペインの探検家、ブルーノ・デ・ヘセタにちなんで名付けられました。当時のオレゴン沿岸は霧や悪天候が多く、航行の難しいエリアとして知られており、多くの船が座礁する事故が相次いでいました。こうした背景を受けて、1894年、太平洋から約206フィート(約60メートル)の高さの崖の上に、高さ56フィート(約17メートル)の灯台が建設されました。この灯台の光は、オレゴン州内の灯台としては最も遠い陸地から約34キロ先まで届き、現在も現役の航行支援灯として稼働を続けています。1978年には国家歴史登録財にも指定され、オレゴン州を代表する歴史的ランドマークのひとつとなっています。

灯台の前に広がる展望エリアからは、雄大な太平洋のパノラマを楽しむことができます。周辺はケープ・パーペチュア海洋保護区の一部に指定されており、自然観察にも最適なスポットです。冬から春にかけてはクジラの回遊が見られるほか、アシカや海鳥など、季節を問わずさまざまな野生動物に出会えるチャンスがあります。
灯台内部の通常見学は制限されていますが、ボランティアによるガイドプログラムに参加すれば、1階部分への立ち入りが可能です。このプログラムは、夏季(3月〜10月)は11時〜15時、冬季(11月〜2月)は11時〜14時に実施されています。ただし、天候やスタッフの都合によって実施されない日もあるため、訪問前に確認することをおすすめします。
また、灯台裏手を通る「ヘセタ・ライトハウス・トレイル(Heceta Lighthouse Trail)」は、オレゴン・コースト・トレイルの一部で、全長約7マイル(約11km)のルートです。トレイル上からは太平洋の絶景を堪能できるだけでなく、ルーズベルト・エルクやマダラウミスズメなど、希少な動植物との出会いも期待できます。
灯台のすぐ側にある白い建物「キーパーズ・ハウス(Lightkeeper’s House)」も見逃せません。1893年に灯台守補佐の住宅として建てられたこの建物は、現在は歴史的建造物として保存されており、一部はベッド&ブレックファスト(B&B)として宿泊も可能です。波音を聞きながら過ごす静かな夜は、旅の特別な思い出になることでしょう。

フローレンス(Florence)からクルマで約20分、ユージーン(Eugene)からは1時間ほどでアクセスできます。US101号線沿い、パシフィック・コースト・シーニックバイウェイ(Pacific Coast Scenic Byway)のルート上にあるため、ロードトリップの途中に立ち寄るのにも最適な立地です。訪問の際は、ヘセタ・ヘッド・ライトハウス州立景勝地(Heceta Lighthouse and Beach Parking)の有料駐車場($10/日)を利用します。駐車場から灯台までは、緩やかな上り坂のハイキングコースが整備されており、所要時間は10〜15分ほど。動きやすい服装と歩きやすい靴での訪問をおすすめします。
太平洋の絶景、豊かな自然、そして歴史を感じる灯台体験。ヘセタヘッド・ライトハウスは、オレゴン・コーストの旅において欠かせないハイライトのひとつといえるでしょう。
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photo: ©Travel Oregon ©Melanie Ryan Griffin / EugeneCascadesCoast.org ©Melanie Griffin / Eugene, Cascades & Coast ©Natalie Inouye / Eugene, Cascades & Coast