オレゴン州東部、I-84沿いに位置するベーカーシティ(Baker City)は、19世紀の開拓史や鉱山開発で栄えた町です。現在も当時の建物が残るクラシカルなダウンタウンや、オレゴン・トレイルを学べる解説センター、そして自然豊かな山岳地帯が広がり、訪れる人々を魅了しています。人口約1万人の小さな町ながら、西部の歴史と自然、そして現代のライフスタイルを一度に味わえるのが大きな魅力です。さらに、ヘルズキャニオン・シーニック・バイウェイ(Hells Canyon Scenic Byway)の起点にもなっており、ロードトリップの拠点としても人気があります。
ベーカーシティは19世紀半ば、オレゴン・トレイルの重要な中継地として発展しました。1860年代に近郊で金鉱が発見されるとゴールドラッシュに沸き、「鉱山の女王(Queen City of the Mines)」と呼ばれるまでに急速に繁栄します。その富は町並みにも反映され、銀行や劇場、ホテルが次々に建設されました。1900年にはオレゴン州で3番目に大きな都市となり、「インランド・エンパイアの女王都市(the Queen City of the Inland Empire)」として知られるほど華やかさを誇りました。
町を散策すると、メインストリート沿いに19世紀末から20世紀初頭にかけて建てられたレンガ造りの建物が並び、歴史探訪気分を味わえます。なかでも、1899年に開業したガイザー・グランド・ホテル(Geiser Grand Hotel)は必見です。豪華なステンドグラスのドームや当時最先端の設備を備え、鉱山王や事業家たちの社交場として栄えました。現在も全米歴史登録財に指定されており、宿泊はもちろん、レストランやラウンジの利用、定期的に開催されるガイドツアーを通じて往時の雰囲気を感じることができます。

町から車で10分ほどの高台にあるオレゴン・トレイル解説センター(National Historic Oregon Trail Interpretive Center)も見逃せません。移民たちの暮らしや旅の苦難を展示や実物大のワゴンで紹介し、展望台からは当時のルートを望むことができます。また、ベーカーヘリテイジ博物館(Baker Heritage Museum)では、ゴールドラッシュ時代の鉱山開発や地域文化に関する展示が充実しており、町の成り立ちを知ることができます。



ダウンタウンには地元食材を活かしたレストランやカフェ、クラフトビールを提供するブリュワリーが点在しています。朝食やランチで人気の「Sweet Wife Baking」、ハンドメイドウォッカを製造する「Glacier 45 Distillery」、ハンドクラフトコーヒーが評判の「Sorbenots Coffee」など、この地ならではの味を楽しめるお店が揃っています。
年間を通じてイベントも数多く開催されます。特に毎年夏のベーカーシティ・サイクルクラシック(Baker City Cycling Classic)は、全米から選手が集まる自転車レースで、町全体が熱気に包まれます。そのほか歴史的な街並みを舞台にしたアートフェスティバルや音楽イベントも人気で、地域に息づくカルチャーを体感できます。
ベーカーシティを拠点にしたドライブもおすすめです。西へ向かえばジョンデイ化石層国定公園(John Day Fossil Beds National Monument)、東へ進めばヘルズキャニオン・シーニック・バイウェイ(Hells Canyon Scenic Byway)へアクセス可能。いずれもオレゴンならではの雄大な自然や地質の魅力を満喫できます。また、西部開拓時代の文化とネイティブ・アメリカンの伝統が色濃く残るペンドルトン(Pendleton)へも車で約1時間半と、周辺観光の選択肢も豊富です。
ベーカーシティは、オレゴン・トレイルの歴史、ゴールドラッシュの面影、そして自然を一度に体感できる町です。ポートランド(Portland)からはクルマで約5時間、ベンド(Bend)やフッドリバー(Hood River)からは約4時間。I-84に面した便利な立地は東オレゴンを巡るロードトリップには最適で、歴史探訪やアウトドアの拠点としてもおすすめです。
Baker City
Address: 490 Campbell St, Baker City, OR
Web Site: Baker City
photo:©Brand USA ©Travel Oregon