カリフォルニア州パサデナ(Pasadena)に拠点を構えるNASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory/JPL)は、世界有数の宇宙探査拠点として知られています。1930年代にカリフォルニア工科大学(Caltech)の研究者グループがロケット推進の実験を始めたことにルーツを持つこの施設は、現在も両者の強いパートナーシップのもとに運営されています。施設は科学史に刻まれた存在であり、とりわけ「Space Flight Operations Facility」(通称ミッションコントロール)は1964年からNASAの深宇宙通信と制御拠点として機能し続け、国家歴史登録財にも指定されています。この場で積み重ねられてきた数々の挑戦と成果は、今なお世界中の人々を魅了しています。


カリフォルニア工科大学のフォン・カルマン教授の指導のもと、「ロケット・ボーイズ」と呼ばれた若き研究者たちの実験から始まった活動は、やがてアメリカ陸軍の支援を受けて正式な研究所へと発展しました。1958年にはアメリカ初の人工衛星「Explorer 1」の打ち上げに成功し、その直後にJPLはNASAへ移管。以来、月探査や惑星探査の最前線で活躍を続けています。特に火星探査では、Sojourner、SpiritとOpportunity、Curiosity、そして現在も稼働中のPerseveranceといった探査車(ローバー)を次々に送り込み、人類の火星理解を大きく前進させてきました。
JPLでは一般向けのビジターツアーが無料で開催されています。ツアーでは「Journey to the Planets and Beyond」と題されたマルチメディアプレゼンテーションに始まり、ビジターセンターや宇宙船組立施設(Spacecraft Assembly Facility)、そしてミッションコントロールの見学などを含む約2~2.5時間の内容となっています。


ただし、ツアーの参加は18歳以上。入場に際しては政府発行のID(パスポート)が必要で、セキュリティチェックもあります。また予約と参加者情報の提出は少なくとも3週間前までに行う必要があり、受付はすぐに定員に達することも多いので、早めに公式サイトで最新情報を確認しておきましょう。なお、施設には無料駐車場が用意されているので、クルマでの訪問に便利です。

JPLはパサデナのダウンタウンからクルマで10分程度とアクセスしやすい場所にあります。また、施設があるラ・カナダ・フリントリッジ(La Cañada Flintridge)は、ロサンゼルスエリア屈指のワインディングロード「エンジェルクレストハイウェイ(CA-2)」の入り口でもあります。施設見学に、絶景ドライブやウィルソン山天文台(Mount Wilson Observatory)への訪問などを合わせ、科学と自然の両面を満喫するロードトリップのプランもおすすめです。
JPLは単なる研究所ではなく、科学と夢を原動力に人類の宇宙理解を広げてきた挑戦の場です。その歴史に触れ、未来への一歩を感じる体験は、ロードトリップの旅先としてこの上なく刺激的な体験となるでしょう。パサデナを訪れる際には、ぜひこの宇宙との交差点を旅の一部に加えてみてください
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photo:©︎NASA JPL ©︎Visit Pasadena