Hells Canyon Scenic Byway|北米最深の峡谷とワローワ山脈を巡る絶景ルート

オレゴン東部を大きく周回するヘルズ・キャニオン・シーニックバイウェイ(Hells Canyon Scenic Byway)は、北米最深の峡谷スネーク川のヘルズ・キャニオンと、スイスアルプスを思わせる鋭峰が連なるワローワ山脈(Wallowa Mountains)を一度に巡ることができる、全長約218マイル(約350km)の環状ルートです。全米シーニック・バイウェイ・プログラムの最高位「All-American Road」に指定されており、その名にふさわしい壮大な自然と豊かな文化的背景を持っています。

このルートの魅力は、なんといってもスケールの大きな景観の変化にあります。北米最深の峡谷から氷河湖ワローワ湖、そしてアルプスのようなワローワ山脈まで、数時間のドライブでまったく異なる表情の風景が次々と目の前に現れます。そして、歴史と文化に触れる旅が楽しめることも特徴です。オレゴントレイルを辿る開拓史や、鉱山で栄えた町の足跡、先住民が残した岩絵や伝説など、道路沿いに点在する遺産は、風景に物語を添えてくれます。そして、ドライブとあわせてアウトドア体験を組み合わせやすいということも魅力です。クルマを降りて自然と触れ合う時間を持てば、一層この土地の魅力を実感できるでしょう。

ヘルズ・キャニオン・シーニックバイウェイへは、I-84のラ・グランデ(La Grande)やベーカーシティ(Baker City)からアクセスできます。ベーカーシティを起点に州道86号線をアイダホ州境に近いオックスボウ(Oxbow)へと向かう区間は、鉱山の歴史と牧歌的な田園風景が広がります。19世紀に「鉱山の女王」と呼ばれたベーカーシティには、ヴィクトリア様式の建築が残る歴史地区や、オレゴントレイルの歴史を伝える国立ヒストリック・オレゴントレイル案内センター(National Historic Oregon Trail Interpretive Center)があります。そして、リッチランド(Richland)の肥沃な農地を抜けると、バックパッキングやスノーモービルの拠点として知られるハーフウェイ(Halfway)の町へ辿り着きます。さらに進むとオックスボウに到着し、そこから支線を使ってアイダホ州側のスネーク川沿いを走り、ヘルズ・キャニオン・ダム(Hells Canyon Dam)までドライブするのがおすすめのルート。標高差2,400mに及ぶ峡谷は600万年にわたり侵食を続けており、先住民ネズ・パース族の伝説も伝わるダイナミックな景観を体感することができます。

オックスボウからは一度州道86号線に戻り、そこからフォレストロード39号線を北上するワローワ・マウンテン・ループ(Wallowa Mountain Loop)に入ります。約45マイル(64km)の曲がりくねった山岳道路は、一部狭く未舗装区間も含まれるので走行には十分注意しましょう。途中、標高1,600mのヘルズ・キャニオン展望台(Hells Canyon Overlook)からは、スネーク川流域と遠くのセブンデビルズ山脈までを望む絶景が広がります。森林を抜け、曲がりくねる山道を下ると、美しい氷河湖ワローワ湖のほとりに位置する町ジョセフ(Joseph)に到着します。芸術の町として知られるジョセフは、ギャラリーや工房が点在し、湖畔からはワロワ・レイク・トラムウェイ(Wallowa Lake Tramway)でマウント・ハワード(Mt. Howard)山頂へ登ることもできます。山頂からは湖とワローワ山脈の氷河地形を一望する雄大な眺めが楽しめます。

ジョセフを出発し、州道82号線を西へ進む最終区間では、芸術とアウトドアを融合した町エンタープライズ(Enterprise)や、ロストィーン(Lostine)、ワローワ(Wallowa)といった小さな町を巡ります。途中の渓谷では、急峻な尾根や谷を一望する迫力の景観が続きます。その後、一部がワイルド・アンド・シーニック指定されているワローワ川とミナム川が合流するミナム(Minam)の町に到着。さらに進むと、交易地として栄えた歴史を持つエルギン(Elgin)へ。ここでは毎年夏に「エルジン・スタンピード・ロデオ」が開催されるほか、観光列車「イーグルキャップ・エクスカーション・トレイン(Eagle Cap Excursion Train)」の拠点としても人気です。そして最終地点ラ・グランデへと到着します。かつてオレゴントレイルの休息地だったこの町は、現在はイースタンオレゴン大学の学園都市として知られ、年間を通じて様々な文化イベントが開かれています。

全長約335kmを走るヘルズ・キャニオン・シーニックバイウェイは、峡谷美、アルプス的な山岳風景、そして開拓史や鉱山史を一度に体験できるスケールの大きなルートです。観光を含めれば1日から2日を要するため、余裕を持った行程でのドライブがおすすめ。オレゴン東部の大自然と歴史を凝縮した、まさに「オール・アメリカン・ロード」の名にふさわしいロードトリップです。

ロードトリップ計画のポイント

ヘルズ・キャニオン・シーニックバイウェイは、四季折々まったく異なる表情を見せてくれるルートです。春はリッチランド周辺の農地に果樹園の花が咲き、谷あいが色彩豊かに彩られます。夏はスネーク川でのラフティングやワローワ湖でのハイキングが人気を集め、アウトドアのベストシーズンとなります。秋にはワローワ山脈の渓谷やジョセフ周辺で紅葉が見事に色づき、澄んだ空気とともに絶景ドライブを楽しめます。冬は高地のフォレストロード39号線が雪で閉鎖されることも多く、環状ルートを全線走行できない場合があるため、事前に道路状況を確認することが大切です。各町や各展望スポットには小規模ながら駐車場が整備されていますが、夏の週末は人気のヘルズ・キャニオン展望台やワローワ湖周辺はかなり混雑するため、平日に訪問するのがおすすめです。また、アウトドアを楽しむ際には登山口や湖畔の駐車エリアを利用できますが、舗装されていない場所も多いため、SUVや4WD車ででかけるのがおすすめです。

Hells Canyon Scenic Byway
Web Site: Hells Canyon Scenic Byway


All-American Roadとは?

全米シーニック・バイウェイ・プログラムの中で最上位に位置づけられる称号で、米国内でも限られたルートだけに与えられています。指定を受けるためには、風景の美しさだけでなく、歴史や文化、考古学的価値、レクリエーション性といった複数の資質を兼ね備えていることが条件。つまり、単なる移動のための道ではなく、その道自体が「訪れることを目的とする価値」を持ち、世界的に注目される観光資源であることを評価基準としています。

National Scenic Bywayとは?

1991年に創設された全米シーニック・バイウェイ・プログラムの下で認定される道路の総称で、地域の景観や自然環境、歴史、文化などに顕著な価値を持つことが条件。全米各地に点在するバイウェイは、それぞれが地域の特色を映し出すものであり、訪れる人に土地の個性や物語を伝える役割を果たしています。指定を受けた道路では、沿線の観光資源や文化的遺産の保護・活用も進められ、ドライバーは単に景色を眺めるだけでなく、地域の歴史や文化を体験しながら走ることができます。旅行者にとっては、アメリカの多様な風土を理解するうえで最適なルートといえるでしょう。

オレゴン州のAll-American Road & National Scenic Byway

All American Road
Historic Columbia River Highway Scenic Byway
Hells Canyon Scenic Byway
Volcanic Legasy Scenic Byway
Pacific Cast Scenic Byway

National Scenic Byway
West Cascades Scenic Byway
McKenzie Pass–Santiam Pass Scenic Byway
Mt. Hood Scenic Byway
Oregpn Outback Scenic Byway
Rougue-Umapqua Scenic Byway
Cascade Lakes Scenic Byway

photo: © Brand USA ©Travel Oregon ©Joni Kabana traveloregon.com ©Sascha Rettig