St. Johns Bridge|ポートランドの自然と調和する美しいアーチ橋と周辺観光

ポートランド(Portland)の北部に架かるセント・ジョーンズ橋(St. Johns Bridge)は、ウィラメット川(Willamette River)をまたぎ、セント・ジョーンズ地区とリンントン(Linnton)地区を結ぶゴシック様式の優美な吊り橋です。1931年に完成したこの橋の全長は約630m、塔の高さは約120m、そして橋下を航行する大型船のために約62mのクリアランスを確保しています。オレゴン州に現存する3つの吊り橋の中で最大かつ最古を誇り、鮮やかなヴェルデグリーンの塗装とゴシック調のアーチが特徴。その美しい姿はアメリカ国内でも屈指とされ、多くの人々を魅了しています。

橋が完成する以前、この地域の川渡しはフェリーが主な交通手段でした。しかし、商業活動や人口の増加に伴い、より効率的で安全な交通ルートの必要性が高まり、1928年に建設がスタート。この橋の設計を手掛けたのは、著名な橋梁技師デイビッド・B・スタインマン(David B. Steinman)とホルトン・D・ロビンソン(Holton D. Robinson)です。当時としては革新的な技術を駆使して建設され、完成当時はミシシッピ川以西で最長の吊り橋として注目されました。そして、2つの塔には中世ゴシック様式の大聖堂の窓を模したデザインが設けられ、この橋の美しさを印象付けています。

橋の東側に広がるキャセドラル・パーク(Cathedral Park)は、その名の通りゴシック調アーチの造形美にちなんで名付けられた公園です。アーチの下から見上げる橋の景観は圧巻で、まるで大聖堂の内部にいるかのような迫力があります。この場所は1806年、ルイス&クラーク探検隊が上陸したとされ、先住民のキャンプ地としても利用されてきました。かつてはフェリーの発着場もありましたが、橋の完成によって役目を終えています。1970年代後半には市民と自治体の協力で整備が進み、1980年に公園として正式オープン。現在では夏の音楽フェスやアウトドアイベントが開かれ、地元の憩いの場として親しまれています。

橋の西側には広大なフォレストパーク(Forest Park)が広がり、ハイキングやバードウォッチングを楽しむことができます。自然豊かなトレイルから望む橋の姿は、街中から眺めるのとはまた違った趣があります。

セント・ジョーンズ橋へは、ポートランドのダウンタウンから車で約20分。US-30(Northwest St. Helens Road)やI-405を経由してアクセスでき、橋の両端付近には公共駐車場や公園利用者向け駐車場が整備されています。

朝や夕暮れ時には太陽の光が橋の緑色をより鮮やかに引き立て、写真撮影にも絶好のタイミングです。東側のセント・ジョーンズ地区ではカフェやアンティークショップ巡り、西側ではフォレストパークで森林浴を楽しむなど、組み合わせ次第で充実した一日を過ごせます。ウィラメット川沿いを南下してダウンタウンへと戻るドライブでは、ポートランドの街並みと自然の景観を一度に満喫できるでしょう。セント・ジョーンズ橋は、交通インフラであると同時に芸術作品のような存在です。ゴシック調アーチと川面に映える緑のシルエットは、ポートランドの自然を身近に感じさせてくれる、訪れる価値のあるスポットです。

St. Johns Bridge
Address: 8600 NW Bridge Ave, Portland, OR
Web Site: St. Johns Bridge

photo: ©Travel Oregon © Travel Portland ©Justin Katigbak, Travel Portland ©KURUMAG