パサデナ（Pasadena）近郊のサンマリノ（San Marino）にあるハンティントン図書館・美術館・植物園（The Huntington Library, Art Museum, and Botanical Gardens）は南カリフォルニを代表数する複合文化施設です。鉄道王として知られるヘンリー・E・ハンティントンとアラベラ夫妻の邸宅をもとにしたこの施設は、1928年に夫妻が所蔵したコレクションとともに一般に公開されました。広大な敷地には、世界有数の貴重書を収蔵する図書館、ヨーロッパ・アメリカの名画を展示する美術館、そして四季折々の花々に彩られた植物園が広がり、1日を通して楽しめる文化と自然のオアシスとなっています。
約130エーカー（約52ヘクタール）の敷地に広がる植物園では、16のテーマ別庭園を楽しめます。研究施設と植物標本室も併設されています。日本庭園では、月見橋や茶室、鯉の泳ぐ池などがあり、日本の伝統美を体感でき、中国庭園は蘇州様式を模して造られており、庭園建築と水景が調和した落ち着いた空間となっています。そのほか、カリフォルニア原産植物を中心とした「カリフォルニアガーデン」や、熱帯・高山・乾燥地帯の植物が育つ温室「コンサバトリー（Conservatory）」など、世界中の植物の多様性を五感で楽しむことができます。
美術館エリアでは、ハンティントン夫妻の旧邸宅を改装した「ハンティントン美術館」と、アメリカ美術を専門とする「ヴァージニア・スティール・スコット・ギャラリーズ」の2つの建物に、多彩なコレクションが展示されています。18世紀から20世紀初頭のヨーロッパ美術や、アメリカ美術の傑作が並び、特に、トマス・ゲインズバラの「青衣の少年（The Blue Boy）」やトマス・ローレンスの「ピンキー（Pinkie）」といった英国肖像画の名作は見逃せません。また、館内では常設展のほか、所蔵品に焦点を当てた企画展も定期的に開催されています。
ハンティントン図書館は、世界有数の独立系研究図書館として知られ、11世紀から21世紀にわたる約1200万点の資料を所蔵しています。所蔵品の中には、グーテンベルク聖書の上製本（現存12部のうちの1冊）、チョーサーの『カンタベリー物語』の15世紀エルズミア写本、シェイクスピアのファースト・フォリオなどが含まれます。また、ジョージ・ワシントンやリンカーンの書簡や原稿など、アメリカ史を物語る重要文書も多く保存されています。館内での閲覧は原則として研究者に限られますが、主要な資料はデジタルライブラリで一般公開されており、自宅からもアクセス可能です。
園内には、Jade Court Cafeや1919 Cafeなどのカフェやレストランがあり、観光の合間に食事や休憩を楽しむことができます。そして、ギフトショップ The Huntington Storeでは、図書館や美術館、植物園に関連した季節の書籍やグッズ、アパレル、ホームデコレーションなどを取り揃えています。
施設内では、さまざまなイベントやツアーなどが開催されており、それらは公式サイトで確認することができます。入場料は、大人（12歳以上）$29、シニア（65歳以上）$24、子ども（4〜11歳）$13、3歳以下は無料。営業時間は、定休日の火曜日を除き、10:00〜17:00。定休日のほか、独立記念日や感謝祭、クリスマスをはじめ、年間数日の休園日もあります。週末を中心に混雑が予想されるため、あらかじめチケットの入手と予約をしておくことをおすすめします。特に入園料が無料となる毎月第一木曜日は大変な混雑となるため、完全予約制となっています。
ハンティントン図書館・美術館・植物園へは、クルマなら、パサデナの中心から10分程度、ロサンゼルス（Los Angeles）のダウンタウンからは20分程度でアクセスすることができます。駐車場は無料で利用可能です。ハンティントン図書館・美術館・植物園は、知、芸術、自然を一度に楽しめる南カリフォルニア屈指の文化スポットです。ロサンゼルスやパサデナ観光の一日をゆったりと豊かに過ごしたい方に、ぜひおすすめしたいスポットです。
The Huntington Library, Art Museum, and Botanical Gardens
Address: 1151 Oxford Rd, San Marino, CA
Web Site: The Huntington Library, Art Museum, and Botanical Gardens
photo: © The Huntington Library, Art Museum, and Botanical Gardens © The Huntington ©Visit Pasdena