Timberline Lodge|映画にも登場したマウント・フッドにある歴史的ホテル

ティンバーライン・ロッジ(Timberline Lodge)は、マウント・フッド(Mt. Hood)の南斜面、山頂に近い標高6000フィート(約1829m)のところにある山岳ロッジです。歴史ある建物や圧倒的な自然美に加え、四季折々のアクティビティが楽しめるホテルで、年間200万人もの人が訪れるオレゴン州で最も人気のある観光名所のひとつです。夏にはハイキングやマウンテンバイク、冬にはスキーやスノーボードなどさまざまなアクティビティを堪能でき、特にスキー場は、アメリカ最大の標高差4540フィート(約1384m)を誇り、年間10ヶ月という国内最長のスキーシーズンを提供しています。そして、1977年にアメリカの国定歴史建造物に指定されたロッジの建物は、1980年に公開された映画「シャイニング(原題:The Shining)」の撮影地になったことでも知られています。

ティンバーライン・ロッジの建物は、アメリカ国立公園のロッジ建築で有名な建築家ギルバート・スタンレー・アンダーウッドによって設計されました。アンダーウッドの“地元素材の使用”と“風景に溶け込むデザイン”という設計スタイルは、現場周辺から採掘した岩の外壁やマウント・フッドの稜線に共鳴するようにデザインされたヘッドハウスの急勾配の屋根に表れています。

このロッジはアメリカ大恐慌時代の1936〜1938年に政府の雇用創出と技術継承を目的としたプロジェクトの一環として建設されました。コストを抑えることを強いられたこのロッジの内外装には、地元の職人や芸術家たちのさまざまな工夫が凝らされています。たとえば、正面玄関へと続くメインロビーの階段の手すりには捨てられた杉の電柱に彫刻を施して使用し、この地で採掘された石を手彫りで作ったメインロビーの暖炉にはタイヤチェーンと古い鉄道レールを鍛造した鉄から作った防火スクリーンが使用されています。その努力は、ロッジの開所式典に出席したルーズベルト大統領が「ティンバーラインは“労働者のスキルと忠実なパフォーマンスの記念碑(a monument to the skill and faithful performance of workers)”である」と宣言した記録も残されています。なお、これらは公式サイトでも紹介されており、館内を見てまわることもできます。

全70室のティンバーライン・ロッジの客室は、二段ベッドの大部屋から家族向けの広い部屋まで用意されており、この地を訪れるさまざまな人たちのニーズに対応する宿泊を可能にしています。全ての部屋からマウント・フッドや周辺の素晴らしい景観を楽しむことができ、オリジナルアート作品やテキスタイル、手作りの家具で温かみのある装飾で宿泊客たちがリラックスできる空間を演出しています。

館内には、地元産の食材を使った新鮮な素材を使った季節のメニューを楽しむカスケードダイニングルーム(Cascade Dining Room)、カジュアルな雰囲気の中でドリンクや軽食を楽しめるラムズヘッドバー&レストラン(Ram’s Head Bar & Restaurant)、メインロビー裏の木材貯蔵エリアを改装したブルーオックスバー(Blue Ox Bar)などのレストランやカフェ&バーがあります。オリジナルアイテムを販売するギフトショップもあるので、お土産を探してみるのもよいでしょう。また、2024年に宿泊客専用の屋外プールとホットタブがリニューアルオープンしました。


ティンバーライン・ロッジは、マウント・フッド・シーニック・バイウェイ(Mt. Hood Scenic Byway)を経由して、フッド・リバー(Hood River)からは1時間弱、ポートランド(Portland)からは1時間半のドライブでアクセスすることができます。なお、この周辺の道路では、天候によって通行止めやチェーン規制などが起きることがあります。雪が降る冬だけでなく、雪が残る春から初夏あたりまでは路面状況を気にしておくとよいでしょう。ティンバーライン・ロッジは、その歴史的価値や圧倒的な景観だけでなく、アクティビティや文化体験も充実しています。四季を通じてさまざまな楽しみが詰まったティンバーライン・ロッジで、オレゴンならではの自然と歴史を堪能してみてはいかがでしょうか。

Timberline Lodge
Address: 27500 E Timberline Road, Government Camp, OR
Web Site: Timberline Lodge

photo: ©️Travel Oregon ©Traveloregon.com ©KURUMAG.