自動車の運転には常に事故のリスクがあり、いつでも、誰でも、加害者にも被害者になる可能性があります。特に不慣れな場所での運転は不安が増し、事故のリスクも一層高まります。ですから海外でレンタカーを借りる際は、万が一の場合に備えしっかり保険に加入しておくことが大切です。しかし実際に保険について調べてみるとLISやLDWなど難解な名称が次々と出てきてどれに加入すれば良いのかわからなくなってしまうものです。ここでは主要な保険や補償制度についてその概要を紹介、保険選びの参考にしてください。

なお、レンタカー費用をとにかく節約したいという人でも、追加自動車損害賠償保険(LSI)と車両損害補償制度(LDW)は必ず加入しておきたい保険です。また不安なので加入できる保険には全て入っておきたいという人は、各種保険や補償制度の加入に加え、ロードサービス、税金、空港税、ガソリン代(1タンク分/返却時の給油不要)などをまるごとパッケージにしたプランを用意するレンタカー会社があるので、このようなサービスを利用するのがオススメです。ひとつづつ個別に組み合わせて加入するよりも費用を抑えることができます。(各情報は2021年10月現在のものです)

自動車損害賠償保険:Liability Protection (LP) / Primary Protection (PP) など
運転中の事故による対人・対物の賠償責任金額を補償する保険です。日本の自動車損害賠償保険(自賠責)に相当するこの保険は、レンタル契約時に以下の州で自動加入となります。(カリフォルニア州、ニューヨーク州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、サウスキャロライナ州、ヴァージニア州、ウェストヴァージニア州)。この保険は自身が起こした事故で怪我をさせた第三者や破損した建物への損害賠償金を一部補償する(補償限度額は各州の定める補償額が適用されますが、利用条件により補償内容等が異なる場合があります。)もので、自身の怪我や盗難被害などは補償外となるため別途任意の保険や補償制度に加入することでさらなる安心を手に入れることができます。
追加自動車損害賠償保険:Liability Insurance Supplement (LIS) など
追加自動車損害賠償保険は、自動車損害賠償保険の補償限度額を引き上げることができる保険で、自動車損害賠償保険(LPやPP)に追加して加入することができます。この保険に加入することにより、対人・対物補償限度額が合計US$1,000,000になります。(フロリダ州とカリフォルニア州のLISの限度額はUS$2,000,000) 。自動車損害賠償保険(LPやPP)の限度額は多くの場合で対人US$20,000、対物US$10,000になっているため、大幅に補償限度額を引き上げることができます。また無保険者または保険補償額が十分でない相手と事故になった場合もカバーされます。なお自動車損害賠償保険(LP)に自動加入できない州でもLISに加入することで対人・対物の補償を受けることができます。利用するレンタカー会社により名称が異なり、また補償内容も一部異なるケースがあるため契約時に内容を確認をしておくと安心です。
主要レンタカー会社の追加自動車損害賠償保険名称
ハーツ(https://www.hertz-japan.comLiability Insurance Supplement (LIS) 
ダラー(https://www.dollar.co.jpLiability Insurance Supplement (LIS)
アラモ(https://www.alamo.jpExtended Protection(EP)
エイビス(https://www.avis-japan.comAdditional Liability Insurance(ALI)
車両損害補償制度:Loss Damage Waiver (LDW) など
車両損害補償制度であるLoss Damage Waiver(LDW)は、レンタルした車両に盗難・紛失・事故などによる損害が生じた場合に、その損害額を免除するための制度です。契約者の不注意により発生した盗難による損害は補償されません。加入料は借りる車種により異なります。また基本的には免責額(自己負担額)はありませんが、国・地域により一定の免責金額が設定されている場合があります。

※国・地域によりCollision Damage Waiver(CDW)と呼ぶ場合もあります。
搭乗者傷害保険:Personal Accident Insurance (PAI)
搭乗者傷害保険は事故により契約者および同乗者が傷害や死亡した場合に規定の金額が支払われる保険です。多くのレンタカー会社がPersonal Accident Insurance (PAI)という名称を用いています。またPAIだけでの加入はできず、携行品保険であるPersonal Effects Coverage (PEC)とセットになります。レンタカー会社によってはPAIとPECをあらかじめ組み合わせた保険を用意しているところもあります。
携行品保険:Personal Effects Coverage (PEC) など
レンタカー利用中の契約者および同乗する同居の第二親等に対し、荷物の盗難・破損などの損害を補償する保険です。現金、貴金属、有価証券等など、一部補償対象外のものがあります。警察への届出が必要です。
PAIとPECを組み合わせた保険名称
ダラー(https://www.dollar.co.jpPersonal Passenger Protection (PPP)
エイビス(https://www.avis-japan.comPersonal Effects Protection(PEP)
緊急医療保険:Emergency Sickness Protection (ESP)
レンタカー契約期間中に契約者(運転者)または同乗者が事故以外の原因によって病気を発症した場合に、その医療費を負担する保険がEmergency Sickness Protection (ESP)です。補償限度額はUS$10,000となりUS$100程度の免責金額があるほか、特定の疾患などには適応されないなど細かな規定があります。
ロードサービス:Premium Emergency Roadside Service(PERS)
タイヤのパンクやバッテリーあがり、ガス欠や故障などの際、救援スタッフが現場に駆けつけてくれるロードサービスは、一般的にレンタカー利用者は誰もが利用できますが、その過失がレンタカー会社にない限り、所定の費用を請求されます。つまり不注意によるアクシデントや故障、事故による損害に関する修理代はすべて契約者が支払うことになります。一部のレンタカー会社ではPremium Emergency Roadside Service(PERS)の名称で、その費用の一部(最大US$1,000まで)をサポートするサービスを提供(ハーツ)したり、Road Assistant Plus(RAP)の名称で、ロードサービスの費用をカバーするサービスを提供(アラモ)しています。